森林性紐サボテンについて
 「森林性紐サボテン」と称される仲間は、北米メキシコから南米ペルーまで分布が広いため、「森林性紐サボテン」としてまとめることとしました。
 「森林性」と付くために熱帯雨林のような鬱蒼としたジャングルに自生しているものと勘違いされることが多いのですが、実際には、熱帯雨林は一部で、多くは開けた風通しのよい林に「着生して」自生しています。このため、適度な乾燥と通気の良さを好みます。一般の地性の柱サボテンよりも根は滞水、過湿に弱いので注意が必要です。
 森林性紐サボテンの多くは花が大きく美しいため、多くの交配種も作出されています。

 当サイトで扱う森林性サボテン、森林性紐サボテンについては、左コンテンツメニューの「森林性紐サボテン」以降をご覧ください。

森林性サボテンの分類
 一般的に森林性サボテンと呼ばれるものは、古くはリプサリス(葦サボテン)グループ、フィロカクタス(孔雀サボテン)グループ、ヒロケレウス(森林性柱サボテン)グループに分けられ、分類上ひとつのまとまりを作っていました。しかし、現在では、「ヒロケレウス・グループ(ヒロセレアエ)」と「リプサリス・グループ(リプサリデアエ)」に大別されこれらの2つのグループはかなり縁遠いものとされています。非常に多くあった属も整理統合されています。
 「柱サボテン」をテーマとする当サイトとしては、ヒロセレアエの内、エピフィルム属を除いたものを森林性紐サボテンとして「柱サボテン」のカテゴリに入れています。

ヒロケレウス・グループ
(ヒロケレアエ Hylocereeae)
*当サイトで「森林性紐サボテン」として扱うグループです。
ヒロケレウス属 Hylocereus
セレニケレウス属 Selenicereus
エピフィルム属 Epiphyllum
ディソカクツス属 Disocactus
ウェベロケレウス属 Weberocereus

リプサリス・グループ
(リプサリデアエ Rhipsalideae)
リプサリス属 Rhipsalis
レピスミウム属 Lepismium
ハチオラ属 Hatiora
スクルンベルゲラ属 Schlumbergera

サボテン科系統樹と森林性サボテンの位置付け

森林性サボテン「ヒロケレウス・グループ」の種類と特徴
ヒロケレウス・グループ
(ヒロケレアエ Hylocereeae)
*当サイトで「森林性紐サボテン」として扱うグループです。
ヒロケレウス属
Hylocereus
 いわゆるドラゴンフルーツや、接木の台木でよく知られている三角柱の仲間です。気根を使って何かによじ登る3稜程度の柱サボテンで、成長は非常に旺盛、花は白で大輪、夜開性のものがほとんどです。
 低温にやや弱いのを除けは強健です。ただ、茎自体が太く、大きく成長させないと花を見ることができないため、かなりのスペースが必要で飽きが来やすいのが欠点といえます。


ドラゴンフルーツ生産者の温室

完熟したドラゴンフルーツ、とても美味しい

セレニケレウス属
Selenicereus

かなり大掛かりな仕立て方
アーチ仕立て
 気根を使って何かによじ登る多稜の細身の柱サボテンがほとんどで、一部扁平な茎をもつものがあります。成長は旺盛、ほとんど花は白で中輪~大輪、夜開性です。
 だいたい、茎の「総長」が7m位で花を咲かせるようになり、一部小型の種類を除き、8号、9号のポットで行灯やオベリスク仕立てすると楽しめます。
 最低温度は5℃程度にすれば、一部の種類を除き安心でしょう。



 

エピフィルム属
Epiphyllum
 いわゆる孔雀サボテンです。ほとんど扁平な茎を持ち、自生地では樹上、岩上に着生、垂れ下がったり、這ったりします。
 作りやすく、花色が豊富なことから多くの園芸品種が作り出され、オーキッドカクタスとも呼ばれます。花は、小輪から大輪、夜開性もあれば昼開性もあります。
 一般のエピフィルムは寒さにも比較的強いものが多く、暖地では軒先でビニールを被せられ越冬する姿が見ることができます。ある程度の乾燥と低温で休眠させることが花付きをよくするポイントです。省スペースの関係でポットに行灯で仕立てることがほとんどですが、スペースに余裕があれば、大型の吊り鉢にすることもできます。
 一方、エピフィルムの中でもoxypetalum(月下美人)系の種類は、低温に弱く、かなりの大型になり、自生地は知られていませんが地生種である可能性があります。

ディソカクツス属
Disocactus
 多種多様な形状をもち、旧アポロカクツス属の多稜ひも状の茎のもの、旧ヘリオケレウス属の4稜程度の細柱、旧プセウドリプサリス属の扁平な茎をもつものなど様々です。
 花色、花形も多種多様で、美しいものが多く、エピフィルムの交配親となったこともあります。花は、小輪から大輪、一夜限りの夜開性のものもあれば、夜から開花し翌日午前中咲く半昼開性のものもあります。
 総じてディソカクツスのサボテンは冷涼な気候を好み、蒸し暑さを嫌うので、周年遮光し、夏は遮光を強く風通し良く過ごさせる必要があります。気難しいサボテンが多いのですが、花を咲かせるところまでいけば、苦労した分感動が高まるでしょう。
 大型種はポットに行灯で仕立て、中小型種は吊り鉢にすることもできます。

 

ウェベロケレウス属
Weberocereus
3~4稜程度の細柱が多いのですが、厚みのある扁平の茎をもつものもあります。一般的に栽培されるのはまれで、かなりのマニア向きと言えます。
 花は、小輪から中輪、夜開性がほとんどです。