Stenocereus ステノケレウス属
太郎閣(たろうかく)
Stenocereus queretaroensis
=Ritterocereus queretaroensis
メキシコ原産

 寄せ植えなどに利用される柱サボテン。
 太郎閣の名は、学名の種小名クエレタロエンシス(queretaroensis)のもじり。

朝霧閣(あさぎりかく)
Stenocereus pruinosus
=Ritterocereus pruinosus
メキシコ原産

 普及種。
 英名は「Gray Ghost Organ Pipe」、果実は食用となりスペイン語では「Pitayo」英語では「Pitaya」「Pitahaya」日本語では「ピタヤ」「ピタハヤ」と呼ぶ。一般的に別種のドラゴンフルーツをピタヤと呼ぶが、ピタヤは柱サボテンの食用果実の総称であって、ドラゴンフルーツに限るわけではない。
 まったくの別種にケレウス属の「神代(Cereus variabilis)」という種があり、それを古くは「ピタハヤ柱」と呼んでいたことがある(こちらも果実が食用となる。)。このため、本種とごっちゃになってしまって、神代(Cereus variabilis)の紹介に本種又は「太郎閣(Stenocereus queretaroensis)」の写真を誤って記載している書籍もある。

大王閣(だいおうかく)
Stenocereus thurberi
=Marshallocereus thurberi
合衆国南部からメキシコ原産

 チョコレート色の刺と刺座。成長は速くないが太く逞しく成長する。
 原産地の根元から林立する姿から、英名は「Organpipe Cactus オルガンパイプサボテン」。
 古くは、ハーゲオケレウス(Haageocereus)属、マーシャロケレウス(Marshallocereus)属とされていたが、現在はステノケレウス(Stenocereus)属。





雷斧閣(らいふかく)
Stenocereus beneckei
=Hertrichocereus beneckei
メキシコ原産

 粉のふいたような白磁の肌と凹凸のはっきりした稜をもつ特色ある柱サボテン。
 花は頂生でかたまって咲き昼開性、クリーム色で美しい。晩秋に咲いた。
 スレンダーであって、太くなる種類の柱サボテンではない。
 「雷斧」(「Life」ではない。)とは何かと調べたところ、石器時代の斧のことで、昔の人が土中から出土する石器を見て、カミナリ様が落としたものだと想像したらしい。そう思うと、雷斧閣もそんなイメージに見えてくるからサボテンの和名もおもしろい。


入鹿(いるか)
Stenocereus eruca
=Machaerocereus eruca
メキシコの下カリフォルニアのマグダレナ島原産

 入鹿は、這性の柱サボテン。新しく成長した部分は立ち上がるが、休眠期に倒れ側面から根を下ろす。ある程度の長さになると、後ろから枯れて、前進していくように見える。
 刺は扁平でナイフのよう。こういった刺の柱サボテンは珍しい、地面に引っかかりやすくするためだろうか?
 自生地では、鋭い刺とその様子から「creeping devil cactus(地を這う悪魔サボテン)」と呼ばれる。
 入鹿の名は、学名の種小名「エルカ(eruca)」のもじり。
 温暖な気候の原産地に自生するため、夏季には強い。冬季は温暖に保つようにしないと成長が好ましくない。そんなに成長は速くないので鉢植えでも栽培できるが、永い月日が経てば鉢植えで栽培することは難しくなるかも。
 旧マカエロケレウス(Machaerocereus)属。



碧塔(へきとう)
黄鶴楼(おうかくろう)
翡翠閣(ひすいかく)
Stenocereus dumortieri
=Isolatocereus dumortieri
メキシコ原産

 濃緑でツヤのある肌、鋭稜に金刺を持つ柱サボテン。
 本種は「翡翠閣」として流通しているものであるが、「翡翠閣」の対照学名「Stenocereus hystrix(=Stenocereus fimbriatus)」の植物(カリブ海の島々を原産とする。)は、本種とはまったく異なる植物である。どこかの時点で和名・学名に混乱が起きたように思われる。
 本種は「碧塔(=黄鶴楼)(Stenocereus dumortieri)」と思われるので、和名「翡翠閣」に「碧塔」「黄鶴楼」、その学名「Stenocereus dumortieri」を併記した。
 「碧塔(Stenocereus dumortieri)」は、柱サボテンとしてより、チランジアが着生するサボテンとして、「チランジア・ハンドブック改訂版 New Tillandsia Handbook」の巻頭写真で有名になった。
 なお、ブドウ科の多肉植物「Cissus cactiformis」にもこの和名が付いているが、同名なだけでまったく関係がないので注意が必要。


ステノケレウス・クリソカルプス
Stenocereus chrysocarpus
メキシコ・ミチョアカン原産

 成長点付近が紫色に染まって、とても美しい。