Peniocereus ペニオケレウス(ペニオセレウス)属
中~大型の塊根性のサボテン。


ぱんさ交配種Peniocereus 'Amaru'
の幼株を確認のため抜いてみたもの
 塊根性のサボテンには、本属の他、ウィルコキシア属(Wilcoxia(現Echinocereus))、ウチワサボテン亜科の何種類かがある。
 ペニオケレウス属の地上部は、細柱状で高さ1mを超えるものがほとんどで、ある程度成長すると直立はできないので、何かにもたれかかったり、叢生したり、斜めになったりし、中には匍匐性の種類もある。地下部の塊根は、丸形、紡錘形、あるいはダリアのように支根がやや太るというように様々である。そもそも地下にあるものなので、露出させれば露出部分の肥大はしなくなる。
 花は、ほぼ夜開性で白色が多いが、中には色花もある。花の形は一般的なサボテン形もあれば、ペニオケレウス独特の花弁が内側に反るものもあり面白い。

ペニオセレウス・ロセイ
ペニオセレウス・ロセイ成株:棒状の状態
ペニオセレウス・ロセイ
幼形:3稜の状態
ペニオセレウス・ロセイ
Peniocereus rosei
メキシコ・シナロア、ハリスコ原産

 幼形は3~4稜の柱サボテン風の状態から、成株になると明確な稜がなくなり棒状になるユニークなサボテン。肌は紫褐色~暗緑で独特な模様がある。成株でも極まれに3~4稜になることもある。よく育てば、よく分岐し高さ2mを超える。
 花は夜開性で、白、外弁は紫褐色、花径5~10cmのなかなかの美花。大株は群花するので、夏の夜の楽しみになる。
 栽培は容易。

 


ペニオセレウス・ヴィペリヌス

ペニオセレウス・ヴィペリヌス

ペニオセレウス・ヴィペリヌス
白眉塔(はくびとう)
眉山(びざん)
Peniocereus viperinus
Wilcoxia viperina
メキシコ・モレロス、プエブラ、シナロア、ゲレーロ等原産

 細い灰色の茎に、痛くないトゲを付ける。高さはだいたい1m止まりで、たまに分岐する。
 花は夜開性であるが、色花で朱がかかった赤~ピンク、花径は数cm。花はかなり大きくなってからでないと見ることができない。花付きはあまり良くなく、たまに咲くよ、という感じ。
 栽培は容易。

 


ペニオセレウス・クイクマレンシス

ペニオセレウス・クイクマレンシス

ペニオセレウス・クイクマレンシス
Peniocereus cuixmalensis
メキシコ・ミチョアカン、ハリスコ、コリマ原産

 細身の3~4稜の暗緑色の茎に鋭いトゲを付ける。茎が捩れ稜がらせん状になることもある。よく育てば、分岐し高さ2mを超える。
 花は夜開性で、白、外弁は紫褐色、花径4cm程度の、独特な形のなかなかの美花。大株は群花するので、夏の夜の楽しみになる。
 栽培は容易。

 


ペニオセレウス・カステラエ

ペニオセレウス・カステラエ

ペニオセレウス・カステラエ
Peniocereus castellae
メキシコ・ミチョアカン、ハリスコ、コリマ原産

 3~4稜の緑色の茎に鋭いトゲを付ける。よく育てば高さ2mを超えるが、分岐しにくい。
 花は夜開性で、白、外弁は緑褐色、花径4cm程度のなかなかの美花。頂部に群花するので、夏の夜の楽しみになる。
 栽培は容易。

 


ペニオセレウス・マクラツス

ペニオセレウス・マクラツス
Peniocereus maculatus
メキシコ・ゲレーロ、メヒコ原産

 3~4稜、肌は紫褐色~暗緑で独特な模様がある茎を持つ。短いトゲを付ける。roseiの幼形に非常によく似ており、roseiの幼形がそのまま大きくなったものと言っても通じるくらいである。
 花は夜開性で、白、外弁は紫褐色、これもまた、roseiによく似ている。
 栽培は容易。

 


ペニオセレウス・オアクサケンシス

ペニオセレウス・オアクサケンシス

ペニオセレウス・オアクサケンシス
Peniocereus oaxacensis
Nyctocereus oaxacensis
メキシコ・オアハカ原産

 多稜でトゲを密生する。成長点は横に向かう。何かに登攀するというよりも、地を這う性質が強い。立性のものが多い中、本種は匍匐性。自生地では、ところどころに根を下ろして拡がるのだろうと思う。
 花は初夏咲き夜開性、直径3cm程度。比較的咲きやすい。
 栽培は容易。


ペニオセレウス・マリアヌス

ペニオセレウス・マリアヌス
Peniocereus marianus
Wilcoxia mariana
メキシコ・ソノラ等原産

 4稜で細身暗緑色~褐色の茎。トゲは短かく、茎に沿う。
 成長はかなりゆっくりで、気難しいところがあり、枯れるまではいかないがするするっと成長させるまではいかない。

 


大和魂

大和魂(やまとだま)
昇天竜(しょうてんりゅう)
アリゾナの夜の女王(ありぞなのよるのじょおう)
Peniocereus greggi var. transmontanus
アメリカ合衆国・アリゾナ、メキシコ・ソノラ等原産

 暗緑色~褐色の4稜程度のトゲの細かい細柱となるサボテン。自生地では長い年月をかけて(おそらく100年単位)巨大な塊根を作る。塊根性のサボテンの中でもっとも大きい。
 花は白で夜咲き。
 「大和魂」等の名は基本種の対照和名である。変種「transmontanus」の基本種との違いは、花のサイズであり、基本種が直径5cmに対し、「transmontanus」は、やや大きく7.5cm、花筒には長い刺があるとされる。
 他のアリゾナの植物同様かなり栽培が難しい植物で、気難しいところがある。長期に渡ってご機嫌に維持していくのは難しい。



Peniocereus hybrid by Pantha ぱんさ交配種
面白いサボテンの作出を目指した交配種
ペニオセレウス・アマル

ペニオセレウス・アマル
Peniocereus 'Amaru'
Peniocereus castellae × cuixmalensis
ぱんさ交配種

 現在のところは3~4稜で、castellaeの性質が勝るような雰囲気である。今後の成長と特徴の出現が楽しみ。
 「アマル(Amaru)」はインカの神々の中の竜神の名から命名。


ペニオセレウス・アポカテクイル

ペニオセレウス・アポカテクイル
Peniocereus 'Apocatequil'
Peniocereus rosei × cuixmalensis
ぱんさ交配種

 幼苗は、maculatusroseiの幼苗によく似るが、maculatusの血は1滴も入っていない。現在のところは3~4稜あるが、roseiの茎の棒状の性質が出てくるか、cuixmalensisの性質が出てくるか、今後の成長と特徴の出現が楽しみ。
 塊根はよく肥大し、かなり面白い交配種になると思う。
 「アポカテクイル(Apocatequil)」はインカの神々の中の稲妻の神の名から命名。