フォウクイエリア属
Fouquieria

 フォウクイエリアは北アメリカ乾燥地を原産とする潅木で、幹は多肉質で、成長期には薄い葉が発生する。葉が落葉すると葉柄が残り、トゲとなる。根元がよく太るものもあれば、一般的な樹木とそれほど変わらないものもある。
 だいたい穏やかな温暖期(主に春)に、まるでマダガスカルのアルアウディア属の植物の様に枝に葉を生じ、短い成長期には新梢を伸ばす。厳寒期や猛暑期は休眠する。
 成長が遅いとよく聞くが、それは栽培法を勘違いしているか間違っているから。
 メキシコ中部以南原産のものを除いて耐寒性はある方で、休眠中を前提として最低気温数℃程度あれば問題はない。

Fouquieria diguetii
フォウクイエリア・ディグエティ
Fouquieria diguetii
メキシコ・バハカルフォルニア州

 葉は楕円で粉を吹いたようなパウダーグリーン。根元で叢生するというよりは、立ち上がって樹状になるといった雰囲気。根元の膨らみはあまりない。
 極めて成長旺盛で、よく成長し、枝を整理するのが面倒なくらい。Fouquieriaの中では最も強健で作りやすい。
 写真の株は私の実生。

Fouquieria formosa
フォウクイエリア・フォルモーサ
Fouquieria formosa
合衆国アリゾナ州、カルフォルニア州

 葉は先端がやや鋭角となる卵形、枝は叢生する。根元は栽培方法により太ったり、スマートであったり。
 極めて成長旺盛で、よく成長する。Fouquieriaの中では強健で作りやすい。
 写真の株は私の実生。

Fouquieria mocdougalii
フォウクイエリア・マクドウガリイ
Fouquieria mocdougalii
メキシコ・ソノラ州

 葉は卵形、根元はやや太り枝は叢生する。
 前述の2種と比較するとやや気難しいところがある。
 写真の株は私の実生。

Fouquieria splendens
フォウクイエリア・スプレンデンス
尾紅寵(おこちょう)
Fouquieria splendens
メキシコ・ソノラ州

 基部から分岐して叢生する。葉はさじ形。
 古い園芸書には、「年に何回かは葉を生じるが、成長するのは春から夏にかけての1週間」とあるが、確かに新梢が伸びる「成長期」は短期間ではあるが1か月くらいはあるように思う。
 Fouquieriaのなかではよく知られている植物ではあるが、やや気難しいところがあって、栽培には気を使う必要がある。

Fouquieria burrageii フォウクイエリア・プラゲイィ
Fouquieria burrageii
メキシコ・バハカルフォルニア州

 葉はひし形。枝は細くやや太る幹につく。
 成長はかなりゆっくりで、やや気難しい。
 写真の株は私の実生。

Fouquieria columnaris
フォウクイエリア・コルムネリス
観峯玉(かんぽうぎょく)
Fouquieria columnaris
Idria columnaris
メキシコ・バハカルフォルニア州

 若木は、太い幹の頂部成長点を細い枝が取り巻く姿をもつが、自生地では幹の伸長にともない幹を枝が取り巻く姿となる。葉は薄く卵形。
 写真の株は私の実生。

Fouquieria columnaris 非常に状態の良い幹の先端の頂部成長点
 実は、このFouquieria columnarisには、注意しなければならないことがある
 Fouquieria columnarisの本来の姿は、ユーフォルビアのいわゆるタコ物のように、幹の先端に頂部成長点をもっている。この幹の先端の頂部成長点の成長によって、幹が伸びて大きく太くなっていく。同時にその周りに枝が発生する。自生地では、この幹が10mを超える高さに成長する。
 この「幹の先端の頂部成長点」は、成長期には柔らかく病害虫や物理的な事故などで非常に欠損、あるいは動かなくなったりしやすい。個体によっては、自然になくなるものもある。販売流通している幼苗をよくよく見ると、欠損してしまっているものがよくある。
 欠損しているとどうなるかというと、幹の成長はそこで止まる。大きい株なら自生地の様に高さ数mにもするわけにはいかないのでそれでも良いが、よく流通している小さな株の段階で止まると、そこから枝だけがひょろひょろと伸びて茂る株になり、Fouquieria columnarisの本来の姿でなく、普通の木の様になる。当然、幹の成長も止まる。
 従って、Fouquieria columnarisの苗を入手するときには、形や値段ばかり見てないで、幹の先端がどうなっているかじっくりと見て、異常があるものを避けるべきだと思う。
 それならば、欠損してしまったら、もうどうにもならないかというとそうでもない。年数は必要だけれども「上質の栽培で成長旺盛にすること」を続けていると、欠損した脇などからひょろひょろの枝ではなく頂部成長点が発生することがある。場合によっては複数発生することがあり、自生地の二股になった大きなFouquieria columnarisの写真を見たことないだろうか。逆に素晴らしい株になる可能性がないわけでもない。
Fouquieria fasciculata フォウクイエリア・ファシクラタ
Fouquieria fasciculata
メキシコ・イダルゴ州南部

 葉は薄く細長い。基部は次第に太り、枝を発生させ叢生する。