サバンナ・アカシア
はじめに・・・
 
 

どうやって入手したのか

 人間の欲は限りないもので、「エルマーのごちそう」という栽培キット商品が流通しており、そこには、アフリカ直輸入の種が入っています。(残念ながら、当商品は販売終了のようです。)
 エルマーとは、ゾウを主人公としたデビット マッキー作の人気のある児童文学です。まあ、悪く言えばそれに便乗した商品な訳です。
 たまたま、この商品を入手し、この種を播種したことから、「エルマーのごちそう」サバンナ・アカシアとのお付き合いがはじまります。

播種〜発芽までは簡単・・・でも育て方は???

播種後1週間の状態

 播種の方法は簡単です。商品説明にも詳細に記載されています。
 種は楕円形をしており堅い殻を持っています。その一部を傷つけ数時間水につけると、薄皮がめくれ、1.5倍位の大きさになります。その後、鉢の用土の表面に置きます(埋めない。)。
 サランラップをかけて乾燥を防げば、1週間もたたないうちに発芽し、本葉がでてきます。
 発芽率は公称70%ですが、我が家では、5粒の種のうち2粒しか発芽せず、40%でした。
 海外の資料では、発芽促進のため、傷つけではなく、濃硫酸に30分浸漬するという方法の記載がありました。
 
 原産地では、雨季に発芽し、乾季が来る前に、乾季に耐えられる大きさに早くならなければならないのでしょう。
 播種後1週間で、本葉が出始めます。本葉は、2分岐羽状複葉です。
 双葉も本葉も、ネムノキ科のお約束どおり、夜は閉じます。
 問題はその後、枝が伸び始めてからです。どうやって育てればいいのでしょう。

サバンナの気候

 インターネットでいろいろ調べましたが、この植物の具体的な栽培方法については記載が見当たりませんでした。この商品を買った人たちは、無事育てられているのでしょうか?
 成木は、日本のどこかの植物園にあるのでしょうか?
 いろいろ調べたところ、「東京大学大学院農学生命科学研究科附属科学の森教育研究センター樹芸研究所"」というところの栽培植物リストの中にありました。どのくらいの大きさの木なのか少しも分かりませんが、現在も栽培されているのではないかと思います。
 
 どうやって育てるかを検討するために、アフリカのサバンナの気候を調べました。
 以下のグラフは、東京(日本)の気温、降水量とアフリカのサバンナの気温、降水量です。

 日本の典型的な気候は、低温で雨の少ない冬と高温で雨の多い夏があり、その間に春と冬があります。つまり、四季があるということです。

 ナイロビのケニアは、高地のために、一年を通して冷涼温暖で、四季というものがありません。

  • 一年を通して気温にあまり差がなく、あえて言うなら10月〜5月が比較的気温が高い。
  • 春と秋には雨が多く(雨季)、それ以外はかなり雨が少ない(乾季)。

 一方、タンザニアのアルーシャは、気温は高くケニアと異なります。  アルーシャの南西(約120−140km)に位置するタランギレ国立公園は、サバンナ・アカシアとバオバブの木が有名な野生動物の宝庫です。

  • 10月〜5月が気温が高く、もっとも暑い時期の1月は、日本の8月に匹敵します。最高気温と最低気温の温度差が激しい。
  • 春と秋には雨が多く(雨季)、それ以外はかなり雨が少ない(乾季)。

「テネレの木」の話

 アフリカのニジェール共和国は、その国土の半分がサハラ砂漠の一部です。それは、テネレ砂漠とよばれ、いわばサハラの中のサハラで、散在するオアシスを除けば、ほとんど植物は生えていません。
 そのテネレ砂漠には、塩の採取地ビルマがあり、比較的人口が多いアガデスからそこまでは、砂漠を通って往き来するラクダのキャラバンのルートがあります。そのルートは、草一本もないテネレ砂漠を通っていますが、その途中、ほかの木から数百キロ以上も離れた砂漠の中にたった一本生えている木がありました。これが「テネレの木」です。どうしてそこに一本だけ生えたのか、どうやって生きているのか分かりません。この愛された「テネレの木」は、このページで紹介している、Acacia tortilis サバンナ・アカシアということです。
 テネレの木は、砂漠を横断するキャラバンの道しるべになっていたとともに、砂漠の中の唯一の心の慰めでした。
 残念ながら、「テネレの木」は、1973年、トラックにあてられ、折れて枯れてしまいました。現在は、金属の看板が代わりに立っており、折れた木は、首都の博物館に運ばれ、今も展示されているとのことです。
(テネレの木記念切手、ニジェール1974年)

 

 
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