■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ・ソナタ ヘ長調

KAnh135(547a),KAnh138a(547b)

 このピアノ・ソナタは、モーツァルトのほかの作品からの編曲によってできている。第1楽章のアレグロは、ヴァイオリン・ソナタ「ヘ長調」K547の第2楽章をピアノの独奏用に編曲したものであるほか、第2楽章アレグレットは、ピアノ・ソナタ「ハ長調」K545のフィナーレのロンドを、ほとんど変えないでヘ長調に移調したもの、第3楽章 は、同じく前記の「ヘ長調ヴァイオリン・ソナタ」の第3楽章、アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニをアレグレットとして編曲したものである。1799年になって、最初の2楽章とフィナーレが別々に、ライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された。この編曲、とくに第1、第2楽章の編曲が、わずかの変化を加えたものであるのにもかかわらず、見事なできばえを示していることから、少なくとも前2楽章はモーツァルト自身の編曲だと考えたアインシュタインは、この曲を1788年6月26日以後に、ウィーンで成立したとし、K547aとしてヴァイオリン・ソナタ「ヘ長調」K547のあとに置いているが、じっさいの編曲は、出版が生前行われなかった点を顧みて1790年か91年に初めてなされたものと思われると述べている。しかし、サン=フォアのように、この編曲は、モーツァルトでは、ほかに例をみない点からして、出版者が行ったものと考えるものもある。さらに、この曲をソナタ集に加える場合にも、前2楽章だけとするのと、フィナーレとして、主題と変奏を加えて3楽章にするふたつの試みがある。ケッヒェルの新版(第6版)では、KAnh138a(547a)とKAnh138a(547b)とを分けている。

第1楽章 アレグロ ヘ長調 4分の3拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アレグレット ヘ長調 4分の2拍子。ロンド形式。ピアノ・ソナタ「ハ長調」K545のフィナーレとほとんどまったく同じである。
第3楽章 アレグレット ヘ長調 4分の2拍子。主題と7つの変奏。