■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

フリーメースン小カンタータ「我らが喜びを高らかに告げよ」

K623

 これは1791年、死を3週間後に控えた時期に、加盟していたフリーメースン分団「新桂冠希望団」の、新築なった会堂のこけら落としのために作曲されたカンタータである。自作品目録への最後の書き込み、従って完成されたものとしては最後の作品にあたる。1792年早々に実現した初版刊行は、残された未亡人と子供たちへの援助を目してたされたという。作詞の任を負ったのは、所属分団こそ違え、同じくフリーメースンの盟友の一人であった「魔笛」の台本作者シカネーダー(1748-1812)。栄光ある神聖な殿堂の開場に立ち合い、善行、忠誠、協和といった結社の基本精神を、晴やかな喜びと共に確認し合うそのテクストは、1ヵ月半ほど前に初演されたばかりのオペラのそれを要約したものとも受けとれるし、音楽自体にも、この優れて劇的な作曲家が最終的に到達した高みである、くだんのオペラを包む清澄な響きの世界が反映されている。死の床に就くわずか2日前に、自身の指揮により初演された事情も考え合せれば、これこそまことのモーツァルトの白鳥の歌と呼ばれるべき作品かもしれない。
作曲年代 1791年11月15日。
初演 1791年11月18日。テノールの重要な方のパートは、同じ分団のメンバーであるアダムベルガーが受け持ったらしい。
基本資料の所在 〔自筆譜〕ウィーン楽友協会。〔初版〕ウィーン、フラシャンスキー社「モーツァルトの最後の傑作カンタータ」(1792年)。〔全集〕新モーツァルト全集第1篇第4作品群第4巻。
演奏時間 約13分20秒。
編成 独唱2部(T・Bs)、男声合唱(T2部.氏)。フルート、オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。