■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

カッサシオン(行進曲)

K62

 モーツァルトは1770年、ボローニャからの手紙でK63、K99(63a)およびK100(62a)の3曲を「カッサシオン」と呼んでいるが、このことは新全集がこれらを「3つのカッサシオン」として刊行した第一の根拠となるものである。これまでK100(62a)は、モーツァルト以外の手で自筆楽譜に書き込まれた名称に従ってセレナーデと呼ばれているが、元来この種の機会音楽は名称がそのままジャンルの厳密な規定にはつながらず、これら3曲も同時代に様々な名称で呼ばれている。この3曲のうちのいずれか(おそらく性格の類似するK63とK99(63a))が、1769年8月6日と8日にザルツブルクで演奏されたフィナールムジーク(K185参照)であろう。K100(62a)の方は少し後に、ザルツブルクの大司教のために書かれた可能性もある。なおこの曲に付属する行進曲K62は、オペラ「ポントの王、ミトリダーテ」K87(74a)第1幕の行進曲(第7番)と同一のものであることを付記しておく。また、これらの自筆楽譜のほとんどには、父レオポルトが目を通した形跡がある。
作曲年代 諸説があるが、1769年8月のフィナール・ムジークがK63およびK99(63a)とすれば、これらはこの年の春もしくは夏に作曲されたことになる。K100(62a)の方は傍証によりそれよりほんの少し後のやはり夏であろうと考えられる。
演奏時間 K99(63a)は27分、K100(62a)およびK62は29分。
基本資料の所在いずれも自筆楽譜はベルリンのプロイセン王立図書館(戦後散逸)。
出版 新モーツァルト全集第4篇、第12作品群、第1巻。
楽器編成 K99(63a)(オーボエ2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、バス)、K100(62a)(フルート、ホルン2、トランペット2が加わる)。

K100(62a)およびK62  行進曲 マエストーソ ニ長調 4分の2拍子。1 アレグロ ニ長調4分の4拍子。2 アンダンテ ニ長調 4分の2拍子。3 メヌエット ト長調/トリオ ニ長調 4分の3拍子。4 アレグロ ニ長調 4分の2拍子。5 メヌエット ニ長調/トリオ ト長調 4分の3拍子。6 アンダンテ イ長調 4分の2拍子。7 メヌエット ニ長調/トリオ ニ短調 4分の3拍子。8 アレグロ ニ長調 8分の3拍子。
 奇数楽章にメヌエットを置く基本的な8楽章。ヴァイオリンの装飾的な動きが重々しい行進曲に続いて、第1楽章は祝祭にふさわしい分散和音主題とため息のような音形が対比的なソナタ形式。第2楽章ではオーボエとホルンのソロがのびやかな旋律を奏する。このソロは次のメヌエットのトリオで短いカノンを奏するが、このカノン風の音形は第4楽章に受け継がれる。二部分形式。第1楽章の主題と他のモティーフは随所にみられるが、第5、第7楽章の主題に強く影響している。第6楽章は2本のフルートが6度で平行進行する美しい二部分形式。主題形成法が見事である。最終楽章はバール型楽句構成による第1部(a-a-b)、短調での主題展開を含む第2部、b楽句の展開を含む第3部、そして主題反復による第4部コーダと進むロンド風の三部分形式である。このあとダ・カーポして行進曲で曲を閉じる。