■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

小カンタータ「無限なる宇宙の創造者を崇敬する汝らが」

K619

 モーツァルト最後の年に、ハンブルクの商人で、「魔笛」の台本作者シカネーダーの知己の一人であったフランツ.ハインリヒ・ツィーゲンハーゲン(1753-1806)の依頼により作曲されたもの。テクストもそのツィーゲンハーゲンの自作である。レーゲンスブルクの分団「3つの鍵」に属す熱心なフリーメースン活動家であったツィーゲンハーゲンは、人間同士、および人間と自然との関係から生ずる本然的な諸関連こそが、人間的幸福を導き出すはずとの信念に基づき、既存の宗教と教育の根本的な改変を希求する急進的な啓蒙主義者だった。こうした思想がルソーと百科全書派の影響を受けたものであることはいうまでもない。どちらかといえば、偽善的でそらぞらしいそのテクストに、しかしモーツァルトはあくまで、「人道主義的様式」の誠実な音楽を響かせている。
作曲の経過 1791年7月完成。ツィーゲンハーゲンの所属分団での集会の最後に歌われるよう目されたものか(ケッヒェル第6版)。
基本資料の所在 〔自筆譜〕ウプサラ大学図書館。〔初版〕ツィーゲンハーゲンの著書『神の創造物と正しき関係を保つための教え』(ハンブルク、1792年)への付録として。〔全集〕新モーツァルト全集第1篇第4作品群第4巻。
演奏時間 約7分40秒。
編成 独唱テノール。ピアノ。