■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

5つのコントルダンス

K609

 コントルダンスは大抵の場合4組のペアによって踊られるイギリス起源の庶民的な、当時としては現代的な舞曲である。K609およびK610のコントルダンスは、モーツァルトが舞曲の領域で生み出した最後の作品に属する。K609の5曲のうちの第1曲は、当時人々の間で相当に親しまれていた『フィガロの結婚』第1幕のフィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ」を用いているが、モーツァルト自身、1787年の友人宛の手紙の中で、プラハのある舞踏会で「フィガロ」が歌われたり奏されたりしているとその人気について伝えている。
 さてK610のコントルダンスは実は、K609の第5曲の編成を変えたものである。この曲の自筆楽譜はK462(448b)とともに綴られていて「意地悪な娘たち Les filles malicieuses」という表題がつけられているが、それが当時流行していたシャンソンに由来しているのではないかという説もあるものの、未だ明らかでない。またモーツァルトは自作品目録にはK610のみを書き入れているが、その理由も明らかにされてない。
 コントルダンスは通常4分の2拍子で書かれ、反復付きの小さな楽句を連ねるのであるが、ここにあげる作品群も第4曲の4分の2拍子を除いてこの形を取り、全体として舞踏の性格を反映して明快で生き生きとした旋律および響きを有している。
作曲年代 K610のコントルダンスには自作品目録で1791年3月6日の日付がある。K609の方は「フィガロ」の旋律から1786年説もあったが、K610の年、1791年にもこの旋律が流行していたことから現在ではいずれも1791年、ウィーンにて作曲とされている。
基本資料 〔自筆譜〕K609−ロンドン大英図書館(依託所蔵、シュテファン・ツヴァイク・コレクション)。K610−シカゴ、ニューベリー図書館。
演奏時間 約6分。
楽器編成 K609−フルート、太鼓、ヴァイオリン2部、チェロ、コントラバス。K610−フルート2、ホルン2、ヴァイオリン2部、チェロ、バス。

 各曲とも、反復付の小楽節の連なりで、24小節(第2曲)から40小節(第1曲)の短いものである。
第1曲 ハ長調 4分の2拍子。
第2曲 変ホ長調 4分の2拍子。
第3曲 ニ長調 4分の2拍子。5曲中、最も軽快で躍動的。
第4曲 ハ長調 8分の3拍子。交替曲を3つ含む構成、3拍子という拍子によって他の曲と異なる。
第5曲 ニ長調 4分の2拍子。