■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

演奏会用アリア「かれに眼をむけなさい」

K584

 自作品目録に「オペラ『コシ・ファン・トゥッテ』のために作られたアリア……」とあるように、元来はこのオペラの第15曲としておかれるために作曲されたもので、オペラの自筆総譜中に第15番として入れられている。現行の第15曲は同じグリエルモのアリア「恥ずかしがらずに、愛らしい瞳よ」であるが、K584がどのような理由で取り替えられたのかは明確でない。このオペラの初演 でグリエルモを歌ったのはフランチェスコ・ベヌッチ(?-1824)、で彼はウィーンの聴衆にはお馴染みのバス歌手であり、「フィガロの結婚」のフィガロ、「ドン・ジョヴァンニ」のウィーン初演 時のレポレロ等を歌っている。その軽妙な演技は、バッソ・ブッファの典型として高く評価されていた。
作曲年代 1789年12月。
基本資料の所在 自筆楽譜はベルリン国立図書館。
出版 旧モーツァルト全集第6篇、第45番。
演奏時間 約6分。

 現行の15番が70小節たらずの短いアリエッタであるのに対して、こちらは190小節以上におよぶ大きな作品である。楽器編成もフルートとファゴットに弦だけの前者に対してオーボエ、ファゴット、トランペット、ティンパニも加えられている。アレグロ、ニ長調、4分の4拍子で、短い管弦楽のトゥッティがあり、すぐ歌が入ってくる。大げさな身ぶりでもっともらしく愛を求めることから、セリア風のものものしさを与えられている。女性たちが立ち去ろうとするところから「美しい方よ……」の歌詞でアレグロ・モルト、2分の2拍子となり、調子にのって歌いあげる。