■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

弦楽四重奏曲 第21番 ニ長調

K575

 3曲の〈プロシア王四重奏曲〉の第1曲にあたるニ長調の作品は、モーツァルトの帰郷後、ただちに書き始められたものと考えられる。第1楽章および第2楽章の主題は、20年近くも前、モーツァルトが第1回のイタリア旅行におもむいていた際に案出したもので、急いで作曲を行おうとしたため、それを利用したものと推定するものもいる。しかしこの時期の様式を示す典型的な例として捉えるものも多い。前出の手紙によると、モーツァルトは、自分の出費で版に刻もうとしていたことがわかる。モーツァルトはこの曲によって100フリードリヒスドール(プロイセン金貨、1フリードリヒスドールは約17マルクといわれている)入りの黄金の筥を得たといわれる。
 楽譜の出版は、実際には、モーツァルトの死後1791年12月の末に、ほか2曲とともに、ウィーンのアルタリア社から、パート譜が出されたのが最初である。
作曲年代 1789年6月、ウィーン。
基本資料の所在 自筆譜はロンドンの大英博物館所蔵。
演奏時間 約25分。

第1楽章 アレグレット ニ長調 2分の2拍子。ソナタ形式。楽器の入りにソット・ヴォーチェと記されている。
第2楽章 アンダンテ イ長調 4分の3拍子。同じくソット・ヴォーチェと記されている簡単な楽章である。
第3楽章 メヌエット アレグットニ長調 4分の3拍子。前楽章の単純で短い構成に比べるとかなり大規模なものである。トリオ ト長調 4分の3拍子。
第4楽章 アレグレット ニ長調 2分の2拍子。ロンド形式。アーベルトが、モーツァルトの最後期の様式的特徴(自由な対位法)を示すものとしてあげている楽章である。