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演奏会用アリア「手にロづけすれぱ」

K541

 1788年6月2日、ウィーンのブルク劇場で、アンフォッシ(1727-1797)作曲のオペラ「幸福な嫉妬」が上演された。アンフォッシはナポリ派のブッファの作曲家として当時人気のあった人で、彼の作品はほかにもしばしばウィーンで演奏されている。モーツァルトとの関係では、同じリブレットで「偽の女庭師」を書いているし「ルチオ・シッラ」も作曲している。このオペラ上演の際、劇中のジロ役を歌ったフランチェスコ・アルベルタレッリというバス歌手のためにこの曲を書いたのであるが、彼は「ドン・ジョヴァンニ」のウィーン初演(1788年5月7日)の折にもタイトル・ロールを歌った歌手である。ウィーンでの活動時期は短いが、イタリア、オーストリア、スペイン等を中心に歌っていた人物である。
 このアリアはオロヘラの第2幕第4場におかれているもので、元来の台本作者はフィリッポ・リヴィーニであるが、作曲者はここでは別の台詞を用いており、この作者はダ・ポンテではないかといわれている。
作曲年代 1788年5月。
初演 1788年6月2日、ウィーン、ブルク劇場。
出版 旧モーツァルト全集第6篇、第40番。新モーツァルト全集第2篇、第7作品群、第4巻。
演奏時間 約3分。

 アレグレット ヘ長調 4分の2拍子。台詞は全6節で第2節と第6節は同文となる。1節は6・6・6・5の各シラブルからなる4行の典型的なブッファのテクストである。ドン・ポンペーオといういささかもったいぶった名前の人物に恋愛についての男の作法を教える内容で、同一テクストのところだけが音楽もほぼ反復されるほかは、言葉の進展に応じて流れてゆく。フルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、それに弦の編成で軽快なブッファらしい曲調を作り出す管弦楽を背景とした小ぢんまりとしたアリアである。なおこの曲の第20小節から第36小節までと、「ジュピター交響曲」の第1楽章の第101小節から第111小節までは共通の素材による。