■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

アダージョ ロ短調

K540

 モーツァルトの単独の作品としては唯一、ロ短調によったもの。何の目的で書かれたのか、また初演の日時もはっきりしないが、1年前の父の死を含めて親しい友人を次々に失った、その心境のはるかな反映であろうとの説もある(デンナーライン)。当否はともかくとして、これは、およそモーツァルトが作曲したもののうちで最も深く苦しく、かつ慰めなき音楽であり、この作曲家の独壇場であるあの「デモーニッシュ」な表現がつきつめられ、さらに浄化されたものといえよう。ちょうど1年前に書かれたイ短調の「ロンド」K511と並び、モーツァルトのピアノ小品群に美しい光彩を添える佳曲である。
作曲の時期 1788年3月19日、ウィーンにて。
基本資料の所在 〔自筆楽譜〕ストックホルム外国音楽文化研究所。
出版 〔初版〕1788年、ウィーン、ホフマイスター社。〔実用楽譜〕ヘンレ版、ウィーン原典版「ピアノ曲集」、音楽之友社。
演奏時間 約10分。

 全体はソナタ形式による。