■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリン・ソナタ イ長調

K526

 オペラ「フィガロの結婚」が大成功をおさめたために、モーツァルトはプラハのオペラ座支配入、ボンディーニより翌シーズンのための新作オペラを依頼された。その新作「ドン・ジョヴァンニ」の作曲は1787年4月から行われ、夏頃にはほとんど完成した。この間モーツァルトはべートーヴェンの来訪を受けたり、父親の死を体験するたど身辺もあわただしかったのだが、このヴァイオリン・ソナタは、そうした時期に書かれたものである。このソナタの第1楽章は8分の6拍子の軽快た主題で始まるが、ヴァイオリンは初めからピアノに3度で合せて動き、この楽章に関する限り、ピアノの優位はほとんど感じられない。また、特筆に値するのは第3楽章の大きさである。426小節という膨大な規模をもつこのフィナーレは、ロンド形式だが、経過部のような部分にも工夫がこらされており、これが第3楽章が大きくなっている原因の1つでもある。
作曲の経過 このソナタが何のために書かれたかは不明だが、ド・ヴィゼヴァとド・サン=フォアの「このソナタの終楽章はアーベル(ドイツのガンバ奏者、作曲家1723−87年)のトリオ・ソナタ作品5の5から引用している」という指摘から、アーベルの死(1787年6月20日)の知らせに、彼を偲んで作曲したという推測もでぎる。作曲は1787年8月24日、ウイーンで完成している。
初演 不明。
基本資料の所在 自筆譜はベルリン国立図書館にあったが、戦後紛失。筆写譜はウィーンの楽友協会のアルヒーフに収められている。
出版 〔初版〕ウィーンのホフマイスターより1787年9月に「ヴァイオリンの伴奏をもつピアノ、またはクラヴサンのためのソナタ」として出版された。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第23作品群、第2巻。
演奏時間 24分31秒(フィリップス X-5583)。
楽器編成 ヴァイオリンとピアノまたはクラヴサン。

第1楽章 モルト・アレグロ イ長調 8分の6拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ ニ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第3楽章 プレスト イ長調 2分の2拍子。複雑なロンド形式。