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セレナーデ 第13番 ト長調 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

K525

 モーツァルトのセレナーデの中でも特に人気の高い作品である。1787年の8月10日、ちょうどオペラ「ドン・ジョヴァンニ」K527の第2幕の作曲に取りかかっていた頃に完成されたものである。アーベルトも指摘するように楽曲は機会音楽的な華麗さを備えており、おそらく他のセレナーデと同様に何らかの機会のために作曲されたものと思われるが、それについては現在のところ明らかにされていない。
 一般に親しまれている「アイネ・クライネ.ナハトムジーク」という表題は、モーツァルトの自作品目録の記載に由来するものである。これは「小夜曲」、つまり「小セレナーデ」と同じ意味のドイツ語であるが、実質的にも明らかにセレナーデであり、モーツァルトの死後出版された初版ではこのドイツ語の表題を用いずに「セレナーデ」としている。
 楽章構成も、現在では交響曲的な4楽章構成をとっているが、モーツァルトの自作品目録には「アレグロ、メヌエットとトリオ、ロマンツェ、メヌエットとトリオ、フィナーレからなる」とあることから、作曲時にはアレグロとロマンツェの間にもう一つのメヌエットとトリオをおいた、セレナーデの原則どおりの5楽章構成をとっていたものと思われる。その上、モーツァルト自身が自筆譜に付した枚数番号から、自筆譜は本来は8葉からなるものであったが、その後(初版の時にはすでに)第3葉が失われてしまったことが明らかになるため、おそらくこの消失部分にもう1つのメヌエットとトリオが書かれていたものとみられる。しかし、この部分は発見されておらず、偶然の消失であるのか、あるいは何者かによって故意に省略されたのかについては決め難い。
 楽曲は非常に簡潔な書法で書かれており、第1楽章の主題から全楽章の主要主題が導き出されているためか、全体の構成が非常に統一のあるものとなっている。こうした楽曲構成と、何よりもまず親しみやすい美しい旋律によって奏でられるセレナーデらしい開放的で明快な曲調が、この曲の人気を高めているものと思われる。
作曲年代 1787年8月10日。
基本資料の所在 自筆譜−個人蔵(スイス)。
出版 〔初版〕オッフェンバッハのJ・アンドレ社(1827年頃)。[全集〕新モーツァルト全集第4篇、第12作品群、第6巻。
楽器編成 ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。

第1楽章 アレグロ ト長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 ロマンツェ アンダンテ ハ長調 2分の2拍子。
第3楽章 メヌエット アレグレット ト長調4分の3拍子。
第4楽章 ロンド アレグロ ト長調 4分の4拍子。ソナタ風のロンド形式。