■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ・ソナタ ハ長調 (4手用)

K521

 モーツァルトは、4手用ピアノ・ソナタを5曲残している。まだ9歳の時の1765年、大旅行の途次ロンドンで作曲された「ハ長調」K19aが最初の作品であるが、その後、1772年と74年、いずれもザルツブルクで書かれたと思われる「ニ長調」K381(123a)と「変ロ長調」K358(186c)が続き、そして最後にウィーンで、1786年と翌87年に、「ヘ長調」K497と「ハ長調」K521が作曲されている。最後の「ハ長調」の曲は、1787年5月29日に書きあげられたが、作曲当日、親友のゴットフリート・フォン・ジャカンに贈られた。その妹フランツィスカのためであった。たお、この曲は、のち、出版 した際にナートルプ家の2人の娘ナネッテ(マリーア・アンナ)とバベッテ(バルバラ)にも贈られた。バルバラは、ゴットフリート・フォン・ジャカンの兄で植物学者のヨゼフ・フランツと結婚し、すぐれたピアニストとなった女性である。4手用ピアノ・ソナタは、まったく家庭的な用途をもつものだけに、2台用の作品に比べて、いっそう軽い性質のものがふつうである。円熟しきったモーツァルトの手から生み出されたこの作品は、そうした軽やかさの典型を示しているといえよう。

第1楽章 アレグロ ハ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテヘ長調 4分の3拍子。3部形式。
第3楽章 アレグレット ハ長調 4分の2拍子。ロンド形式。