■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

6つのドイツ舞曲

K509

 1787年、プラハに滞在したモーツァルトは当時名を馳せていた舞踏会に出席し、その様子を手紙に記して彼の舞踏会好きを伺わせているが、またプラハの名門出のパハタ伯爵によって舞曲作曲の依頼も受けている。
 K509の総譜の最後には、モーツァルト自身の手で演奏上のアドヴァイスが記されている。「各ドイツ舞曲には交替曲(アルテルナティーヴォ)があり、交替曲のあとでそのドイツ舞曲を再び反復し、それから次の交替曲にと進みます。そうして導入部(アイガンク)を経て次のドイツ舞曲に向かいます……」モーツァルトはウィーンの習慣を知らないプラハの音楽家のためにこうしたメモを書き加えたのであった。この6曲の舞曲はモーツァルトが述べているように導入楽句で全体がつながれ、祝祭的な冒頭の舞曲から華やかなコーダの舞曲まで全6曲が巧みにまとめられている。
作曲の経過 1787年、2月6日、プラハのパハタ伯爵はかねてより依頼していた作曲が一向にはかどらないのにしびれを切らし、モーツァルトを実際の定刻より1時間早く招待し、五線紙などを用意した机の前に彼を招き入れ、食事が始まるまでの1時間でこの舞曲を作曲してもらったといわれている。
基本資料の所在 ベルリン、プロイセン国立図書館(現在ベルリン、ドイツ国立図書館)。
演奏時間 約10分。
楽器編成 ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、ヴァイオリン2、バス。

 統一をはかるため、全体にそれとなくモティーフの関連が仕組まれている。
第1曲 ニ長調 8分の3拍子。
第2曲 ト長調 8分の3拍子。付点リズムの愛らしい主舞曲のあと下属調(ハ長調)の交替曲。
第3曲 変ホ長調 8分の3拍子。フル編成でティンパニがリズムを強調する。
第4曲 へ長調 8分の3拍子。優雅な主題の主舞曲に続いて属調の交替曲。
第5曲 イ長調 8分の3拍子。同音反復形の主題による野趣あふれる舞曲。
第6曲 フル編成。ハ長調。