■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調

K503

 1786年12月4日に完成されたこの「ハ長調」K503は、1784年2月9日完成の「変ホ長調」K449以来続いたあの一連のピアノ協奏曲の最後を飾る作品である。モーツァルトのピアノ協奏曲の最も輝かしい時期となったこの3年間には12曲ものピアノ協奏曲が生み出されたが、これらの協奏曲において、モーツァルトは、独奏ピアノと管弦楽との緊張と融合を図り、古いリトルネロ形式による協奏曲の様式と古典派のソナタの様式とが一体となった、交響的た協奏曲を築きあげていったのであった。このグループの最後の協奏曲であるK503は、形式的にも内容的にも充実しており、まさにモーツァルトのこれまでのピアノ協奏曲創作活動をしめくくるのにふさわしい、壮大な交響的協奏曲となっている。また、この作品以後、モーツァルトが世を去るまでの5年間には、ピアノ協奏曲は2曲書かれているだけであり、モーツァルトのピアノ協奏曲創作活動は、実質的にはこのK503によってしめくくられたも同然といえるのである。
 さて、この曲は、1786年の待降節予約音楽会の一つで演奏されるために書かれたものである。確かに同年2月8日に、父親レオポルトが娘のナンネルに宛てた手紙から、モーツァルトがこの年の待降節に市の集会場、いわゆるカジノで4回の予約音楽会を計画していたことがわかるが、この曲が実際にいつ初演されたのかは定かでない。12月5日の記録に「4回の予約音楽会の開催」が報告されていることから、この日に演奏されたとする説もあるが、けっして確かなものではない。
 残された資料から、この曲が当時しばしば音楽会で演奏されていることが明らかとなり、当時のこの曲の人気がしのばれるが、今日では、他のピアノ協奏曲に比べて演奏される機会が少ないものとなっている。
 なお、他のピアノ協奏曲と異なり、この曲では、独奏ピアノの声部は比較的完全に仕上げられている。
作曲年代 1786年12月4日。
初演 不詳。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館(プロイセン文化財団)。
出版 〔初版〕オッフェンバッハのJ・アンドレ、1796年(コンスタンツェによる自費出版)。〔全集〕新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第7巻。
演奏時間 約30分。
楽器編成 独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ ハ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ ヘ長調 4分の3拍子。展開部をもたないソナタ形式。
第3楽章 アレグレット ハ長調 4分の2拍子。ロンド・ソナタ形式。