■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」

K50(46b)

 12歳の少年モーツァルトが作ったドイツ語オペラであり、地のセリフをふくんで、ジングシュピールともいえるものであるが、同時に当時フランスでさかんにおこなわれ、かつウィーンにも輸入されていたフランスの喜歌劇とも、さまざまな点で密接なつながりを示している。このオペラはまた間接的にルソーのユニークな幕間劇とも関係をもっていて、ルソーが主張した〈旋律の純一性〉と、それが生みだす自然性が、モーツァルトの天性でもあったことを如実に物語っている。また、モーツァルトが、ウィーンで知ったヒラー(1728-1804)のジングシュピールの影響が云々されることもある。いずれにしても、天真欄漫で、みずみずしい牧歌的作品である。
作曲の経過 1768年はじめ、ウィーンに滞在中であったモーツァルトは、時の皇帝ヨーゼフ2世の依頼で、オペラ・ブッファ「ラ・フィンタ・センプリチェ」(みてくれの馬鹿娘)K51(46a)を作曲したが、このオペラの上演をめぐって、さまざまな妨害があり、結局、ウィーンでは上演できなかった。そのために落胆していたモーツァルトを元気づけたのが、メスマーによるこのオペラ作曲の依頼であった。作曲は晩夏から秋にかけておこなわれたものと推定される。一説では1767年ザルツブルクを出発してウィーンに向かった折、すでに台本をたずさえていったばかりか、もう既に多くのナンバーが作曲されていたともされている。
初演 1768年10月ごろ、作品の依頼者であるウィーンのメスマー(モーツァルト家と親しかった医師)の邸でおこなわれた。なお、1769年にザルツブルクで再演がおこなわれている。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館。
出版 新全集版(ルードルフ・アンゲルミュラー編)第2篇、第5作品群、第3巻。
演奏時間 約40分。
楽器編成 フルート(第11曲のみ)2、オーボエ2、ホルン2、弦合奏。
台本 ドイツ語。18世紀フランスの大思想家ジャン=ジャック・ルソー(1712-1778)が作詞・作曲した歌劇「村の占師」(1752年)にもとづき、アルニー・ド・ゲルヴィルとファヴァール夫妻が共作したパロディ「バスティアンとバスティエンヌの恋」を、ヴァイスケルンが自由にドイツ語に翻訳したもの。たお、モーツァルト家の隣人シャハトナーが、のちに台本の改作をおこない、またレチタティーヴォのテキストを作っている。
登場人物 羊飼の少女。ハスティエンヌ(S)、その恋人バスティアン(T)、魔法使コラ(B)。
時と所 17世紀頃。コルシカ島内、ハスティアの村。