■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ三重奏曲 変ホ長調

K498

 楽器編成(クラリネット、ヴィオラ、ピアノ)と楽章構成(アンダンテ−メヌエット−ロンドー)の点で、この作品は全部で8曲あるモーツァルトのピアノ三重奏曲のなかでも特異な位置を占める。また、この作品がしばしば〈九柱戯トリオ〉と呼ばれるのは、モーツァルトが九柱戯をしながらこの三重奏を書いたからだともいわれているが、真偽のほどは定かでない。ただ、この作品が書かれる10日あまり前にできたK497(496a)には「九柱戯をしながら」と書かれている。いずれにせよ、この作品が片手間仕事でなかったことは確かである。クラリネットの音響上の魅力に加えて、第1楽章冒頭主題の固執的とも思われる使い方、第2楽章 メヌエットの対位的な手法には、よく練られていながら、自然な流れを感じさせるモーツァルトの音楽の特徴がよくあらわれている。
作曲の経過 1986年8月5日にウィーンで作曲。モーツァルトはこの作品を前作K497(「4手のためのピアノソナタ」へ長調)とともにフランツィスカ・ジャカンのために書いた。フランツィスカはモーツァルトが親しくしていたジャカン家の娘で、モーツァルトの最も優れた弟子の1人だった。
初演 不明。
基本資料の所在 自筆譜はパリ音楽院図書館所蔵。筆写譜はベルリン国立図書館におさめられている。
出版 〔初版〕アルタリア、ウィーン、1788年(Op.14;V.-Nr.188)。楽器編成の項参照。〔全集〕モーツァルト全集第8篇、第22作品群、第2巻。
演奏時間 19分50秒(ハルモニア・ムンディULX 3105 H-8-H)。
楽器編成 クラリネット、ヴィオラ、ピアノ。初版本では「より広い購売層を獲得する」という商売上の目的から、おそらくモーツァルトの了解を得て、ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノの編成が示され、クラリネットがヴァイオリンに代ることもできるとしている。

第1楽章 アンダンテ 変ホ長調 8分の6拍子。三部分形式。
第2楽章 メヌエット 変ロ長調 4分の3拍子(トリオ ト短調) メヌエットは反復記号をもつ三部分形式。
第3楽章 ロンドー アレグレット 変ホ長調 4分の4拍子。非常に変則的なロンド形式。