■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ三重奏曲 ト長調

K496

 K254ではピアノが非常に支配的であったのに対し、ほぼ10年の間隔をおいて作曲されたこの作品では2つの弦楽器が活発に動き、「三重奏」の名にふさわしくなっている。とくに、チェロが他の2楽器と対等に扱われる第1楽章の展開部はこうした変化を明確に示している。ピアノ三重奏曲ほど一般向けでなく、各楽器の独立性を必要とする弦楽四重奏が、ハイドンの影響の下に、1782年以降書かれるようになったことと、この変化を考え合せてみるのも興味深い。
作曲の時期 1786年7月8日にウィーンで作曲された。モーツァルトは交響曲、協奏曲、室内楽の何曲かを買いあげてもらうため、同年8月8日にドナウエッシンゲンのフュルステンベルク侯に示しているが、この曲もそのうちの1曲である。
基本資料の所在 自筆譜は現在パリ在住の個人の所有であるが、この特徴を完全に残し、作成された筆写譜(たとえば赤と黒のインクの使用、訂正の方法)がベルリン国立図書館にある。
出版 〔初版〕ホフマイスター(ウィーン、1786年、V.-Nr.56)。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第22作品群、第2巻。
演奏時間 26分15秒(ハルモニア・ムンディ ULX.3105-H-8-Hによる)。

第1楽章 アレグロ ト長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ ハ長調 8分の6拍子。小さな中間部をもつ三部分形式。
第3楽章 アレグレット ト長調 2分の2拍子。主題と6つの変奏からなる。