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ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調

K495

 4曲のホルン協奏曲の最後の作品として、1786年6月、「フィガロの結婚」K492の2ヵ月後に作曲された。自筆譜に「ロイトゲープのためのヴァルトホルン協奏曲」とあるように、この曲もまたロイトゲープのために作曲されており、青、赤、緑、黒のインクをごちゃ混ぜに使って書かれた自筆譜が、2人の打ち解けた間柄をしのばせている(ロイドゲープについては「第1」「第3」の概説参照)。といっても、楽曲自体には、「第1番」や「第2番」のロンド・フィナーレにみられるようなユーモアは隠されておらず、4曲の中でも一番大きた堂々たる協奏曲となっている。
 この協奏曲が書かれた1786年は、1784年に始まるピアノ協奏曲の系列が一応締めくくられる年であり、この年にも3曲の傑作(イ長調K488ハ短調K491ハ長調K503)が生まれている。しかし、この協奏曲には、アインシュタインが「第2番」(1783年)の「複本のようである」と評しているように、ピアノ協奏曲にみられるような協奏曲の新しい発展段階は直接には反映されていない。これは、ヴァルトホルンを独奏楽器に迎え、ロイトゲープのために気軽に構想されているためであろう。しかしながら、そうした伝統的な協奏曲の枠内にありながら明るくおおらかな基調に一層の深みが加わっていることは否めない。「第4番」は、個性的な主題法、ピアノ協奏曲にも通ずるような意欲的な楽曲構成という点では「第3番」に一歩を譲るが、円熟期の巨匠の巧まざる充実ぶりを示す優れた作品といえよう。また、半音奏法を中心に、当時のホルンとしてはかなり高度な演奏巧技を要求していることもこの協奏曲の特徴である(ホルンについては、「第2番」の概説参照)。
作曲年代 1786年6月26日(自筆譜による)。
初演 資料はないが、1786年のアカデミー(予約演奏会)の1つで、ロイトゲープを独奏者になされたと推測される。
基本資料の所在 個人蔵、詳細は不明。
出版 1802年、オッフェンバッハのJ・アンドレ。
演奏時間 約15分。
楽器編成 独奏ホルン(変ホ調)、オーボエ2、ホルン2、弦5部。

第1楽章 アレグロ モデラート 変ホ長調 4分の4拍子。協奏風ソナタ形式。
第2楽章 ロマンツェ アンダンテ 変ロ長調 4分の3拍子。小ロンド形式。「第3番」と同様ロマンツェと名付けられているが、この名称に通例の三部形式ではなく、A-B(属調)-A-C(平行短調)-Aという小ロンド形式で書かれている。
第3楽章 ロンド アレグロ・ヴィヴァーチェ 変ホ長調 8分の6拍子。型通りの狩のフィナーレであるが、角笛を思わせる分散和音が多用されること、軽快な伴奏のリズムが馬に乗って駆け抜ける狩の情景を彷彿とさせるところから、この楽章を指して特に「狩のフィナーレ」と呼ぶこともある。