■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調

K481

 この作品が書かれた1785年の後半、モーツァルトはオペラ「フィガロの結婚」の作曲に忙殺されていた。そのため、7月以降の作品の数が著しく減っている。しかし、このような状況のなかでもいくつかの新しい作品が生まれている。たとえば「ピアノ四重奏曲」ト短調K478「ピアノ協奏曲」変ホ長調K482とこの作品等である。
 このソナタでは、前作のK454に比べてヴァイオリンの役割が、とくに第1楽章において後退している。しかし、技巧的な面はともかく、第2楽章のへ短調のエピソードの美しさや、第1楽章 、第2主題の愛らしさ、第3楽章の、木管楽器にも似合いそうなよくまとまった主題などは、こうしたヴァイオリンの取扱いを補って余りある。形式や技術よりも、全体に流れる豊かな楽想と音楽的なセンスで優れているモーツァルトの特性が、ここでも明らかにされる。
作曲の時期 1785年12月12日にウィーンで作曲された。また、この作品は1786年8月8日に、ドナウエッシンゲンのフュルステンベルク侯に売りに出した曲の1つである。
初演 不明。
基本資料の所在 自筆譜はベルリン国立図書館にあったが終戦後は紛失。筆写譜はクルーマウのシュヴァルツェンベルク・アルヒーフ(K.29 Nr.176〈18世紀〉)にパート譜で残されている。
出版 〔初版〕ウィーンのホフマイスターより1786年に「ヴァイオリンの伴奏をもつピアノまたはクラヴサンのためのソナタ、W・A・モーツァルト作曲」として出版された。
〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第23作品群、第2巻。
演奏時間 22分30秒(フィリップス X-5585)。
楽器編成 ヴァイオリンとピアノ、またはクラヴサン。

第1楽章 モルト・アレグロ 変ホ長調 4分の3拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アダージョ 変イ長調 2分の2拍子。
第3楽章 アレグレット 変ホ長調 4分の2拍子。主題と6つの変奏曲。