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フリーメイスンのための葬送音楽

K477(479a)

 モーツァルトはフリーメイスンのための音楽を数々作曲しているが、フリーメイスンとの関係は、ウィーン時代のモーツァルトの芸術活動に重要な役割を果すものである。フリーメイスンに加盟したのは、1784年12月14日のことであるが、運動そのものに触れたのは、それよりも前のザルツブルク時代であるといわれている。
 フリーメイスンのための音楽は、ザルツブルク時代の作と考えられている歌曲「おお、真実な盟友たちの友愛の聖なる絆よ」K148(125h)を除けば、1785年と最後の1791年に集中している。ウィーンに移ってからのモーツァルトの信仰に関する精神活動の表現の場は、教会音楽からこのフリーメイスンのために書かれた作品へと移っていったといえる。したがって、後期の作品においては、フリーメイスンのための音楽は、モーツァルトの信条を伝えるものとして重要性をもっている。
 フリーメイスンの音楽の中でもっとも有名なこの「葬送音楽」は、アインシュタインによれば、教会作品でこそないが、宗教的な楽曲であり、「ハ短調荘厳ミサ曲」K427「レクイエム」K626を結ぶ絆なのである。
作曲の経過 1785年11月6日にメックレンブルク=シュトレーリッツ大公ゲオルク・アウグストが、翌7日には、ハンガリー=トランシルヴァニア宮内大臣エステルハージ・フォン・ガランタ伯フランツが相次いで世を去った。2人ともフリーメイスンの有力結杜員であり、モーツァルトの敬愛していた人物でもある。そこで、その死を悼んでこの「葬送音楽」が書かれたと考えられている。おそらく11月10日頃であろうと思われる。
初演 1785年11月17日に行われた2人の結社員の告別式で、この音楽も演奏されたと考えられる。
基本資料の所在 自筆楽譜は、ベルリン国立図書館所蔵。筆写譜も同図書館所蔵(Mus.Ms.1:15353)。
出版 〔初版〕オッフェンバッハのJ・アンドレより1805年頃出版された(出版番号2193)。〔全集〕旧モーツァルト全集第10篇、第12巻。新モーツァルト全集第4篇、第11作品群、第10巻。
演奏時間 約8分。
楽器編成 オーボエ2、クラリネット、バセット・ホルン、コントラファゴット、ヴァルトホルン2、バセット・ホルン(付加)2、ヴァイオリン2部、チェロ、コントラバス。
 用いられている楽器のうち、コントラファゴットと2本のバセット・ホルンの声部は、モーツァルト自身があとから加えたものである。したがって、自作品目録には記入されていない。コントラファゴット(自筆楽譜ではグランファゴット)の声部は譜表の欄外(最下段)に書かれている(旧全集版では、省略可とされている)。一方、バセット・ホルン声部は、2本のホルンを補うために加えられたもので、自筆楽譜の最後にまとめて記入されている。初版では、3本のバセット・ホルン声部に代用しうるように、第2クラリネットと2本のファゴットのパートが添付された。

アダージョ ハ短調 2分の2拍子。