■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

歌曲「魔術師」

K472

作曲年代 1785年5月7日、ウィーン。
演奏時間 約3分。

 1785年5月7日には、ヴァイセ(1726-1804)の詩による3曲の小さなリートが生まれた。K472、K473の「満足」とK474の「偽りの世」で、いずれも前奏と後奏をもつ有節形式の小品である。3曲の詩は、モーツァルトが所有していたヴァイセの「小抒情詩集」からとられている。
 曲はト短調、4分の2拍子。初めて男に言い寄られたときの娘心の高ぶりを、興奮した口ぶりで他の娘たちに伝えるものだが、そのうぶた娘の心理状態が、半ば劇的な表現を伴ってみごとに表出されている。短い前奏と後奏がじつに効果的である。
〔歌詞大意〕娘さん方、ダメートを避けなさい。私が初めて彼に会ったとき、何ともいいようのない気分になった。私はため息をついたり、ふるえたり、真赤になったり、真青にたったりした。そしてただ「はい」と「いいえ」を片うだけで、彼に逆らうことはできなかった。彼は魔術師にちがいない。彼が激しく私を抱いたときは、何という甘い苦しみだったことか。そんなとき、運よくお母さんがやってきた。そうでなければ、私は最後にどうなっていただろう。