■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調

K467

 1785年に生まれた3つの協奏曲のうちの第2作。第1作K466からわずか1ヵ月後、やはり自分が主催する予約演奏会でみずから独奏パートを受け持つつもりで書いたもの。ともに旧来の協奏曲の域を脱した「交響的統一体」としての内容を備え、充実した編成で巧妙なオーケストレーションを展開するなど、両曲に共通する面もいくつかあるが、しかしこのK467から受ける印象は、K466のそれとはかなり異なっている。なかば行進曲ふうな開曲の雰囲気、沸き立つようなブッフォの精神がみなぎるフィナーレ、間にはさまれて、あくまで美しいカンタービレに徹するアンダンテ−。そればかりでない。曲の重心をふたたび独奏者の演奏技巧に移動させるなど、せっかく脱け出した杜交的機会音楽の領域にまた後退したかにも感じられる。ニ短調の、あの息づまるような暗い激情から解放され、ハ長調という清朗た調性を選んだモーツァルトはここで、自分の楽器を存分に遠慮なく鳴らしてみたかったのかもしれない。とはいえ、そうした技巧の誇示も決して極端に陥ってはいないし、作曲家のあの無類の平衡感覚によって、オーケストラと独奏楽器の協調が破綻なく達せられていることもまた、事実なのである。
作曲年代 1785年3月9日、ウィーン。
初演 1785年3月10日、ブルク劇場にて、この演奏会に父レオポルトが列席、その成功に感動して涙を流したというエピソードが伝えられているが、これについては手紙などにも見当らず、確証はない。
基本資料の所在 ニューヨーク、ハイネマン財団蔵(自筆譜)。
出版 〔初版〕プライトコプフ・ウント・ヘルテル杜、1800年。〔全集〕旧モーツァルト全集第16篇、第21番。新モーツァルト全集第5篇、第5作品群、第6巻。
演奏時間 約28分。
楽器編成 独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部。

第1楽章 アレグロ ハ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ ヘ長調 2分の2拍子。三部リート形式。
第3楽章 アレグロ−ヴィヴァーチェ・アッサイ ハ長調 4分の2拍子。展開部を欠いたソナタ形式。