■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 「狩」

K458

 前作からおよそ1年4ヵ月を経て、1784年11月9日に完成された。前年の後半を念願のザルツブルク帰郷にあてたモーツァルトは、この年の初めからウィーンに腰をすえて自由な音楽家としての本格的な活動に入った。活動の主な舞台はピアニストとしての人気に支えられた予約演奏会であり、作品もピアノ協奏曲を中心に明るく社交的な性格のものが多くなっている。久々に作曲されたこの四重奏曲にも、そうした明るく平明な内容への転換をはっきりとみることができる。最初の3曲が、モーツァルトの内面へのまなざしに特徴づけられるとするなら、この四重奏曲では、モーツァルトの眼が同時代の趣味と理解力にも向けられているといえるだろう。最初の3曲の個性的な表出の主な要因となっていた、半音階法、鋭いデュナーミク、和声の複雑さは適度に抑制されており、表現のうえでもハイドンを模範としていることが感じられる。とりわけ両端楽章にはハイドン的な性格が強く打ち出されているので、いうまでもなく相対的な意味においてだが、6曲のなかでも最もハイドン的な四重奏曲と評されている。
作曲年代 1784年9月9日、ウィーンにて(自作品目録への記入)。
基本資料の所在 自筆譜はロンドンの大英図書館所蔵。ほかに、メヌエットの10小節からなる第1稿がパリのアダム・ミツキィエヴィッツ博物館所蔵。
出版 〔初版〕1785年、ウィーンのアルタリア社より「作品10の3」として。〔全集〕旧モーツァルト全集第14篇、第17番。新モーツァルト全集第8篇、第20作品群、第1部門、第2巻。
演奏時間 約27分。

第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ 変ロ長調 8分の6拍子。ソナタ形式。明確な第2主題をおかないハイドン風のソナタ形式で書かれている。
第2楽章 メヌエット 変ロ長調 4分の3拍子。
第3楽章 アダージョ 変ホ長調 4分の4拍子。展開部を省いたソナタ形式。
第4楽章 アレグロ・アッサイ 変ロ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。