■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

カンタータ「汝、宇宙の魂に」

K429(468a)

 総譜草稿の形で未完のまま残されたフリーメースンのための作品。開曲合唱曲の合唱パートと、低音および第1ヴァイオリン、第2曲テノール、アリアのテノールと低音だけが完成されており、他のパートはごく断片的に記されているに過ぎない。モーツァルトは第3曲として、へ長調のテノール2重唱の構想を抱いていたが、自筆譜は低音と弦による前奏が14小節続いたあと、第1テノールの歌い出しわずか3小節のところで中断している。全曲が完成していたら、おそらくかなり大規模な力のこもった作品になったろうと思われるだけに、この中断は惜しまれる。
 作詞者はローレンツ・レーオポルト・ハシュカ(1749-1827)。
 なお、この曲については、未完のモーツァルト作品の補筆をいくたびも試みている友人の僧侶、マクシミリアン・シュタートラーが、ピアノ伴奏版(男声合唱とS独唱)とオーケストラ伴奏版(混声合唱)の2種の補完稿を残している。
作曲の経過 おそらく1785年、新全集(1957年)やケッヒェル第3版では1783年とされていたが、筆蹟や音楽的成熟度などから、ケッヒェル第6版は1784年12月14日のモーツァルトのフリーメースン入会以後、1785年中の作としている。その年の3月に入団後初のフリーメースンのための作品、リート「結社員の旅」K468をものした直後に自発的に着手され、4月の「フリーメースンの喜び」K471の作曲依頼により中断、そのまま放棄されてしまったとの推定による。
基本資料の所在 〔自筆譜〕不明。〔全集〕新モーツァルト全集第1篇第4作品群第4巻。
演奏時間 約8分。
編成 独唱テノール、男声合唱(T2部、Bs)。フルート、オーボエ2、クラリネット、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、オルガン。