■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

弦楽四重奏曲 第16番 変ホ長調

K428(421b)

 第3作であるが、自筆譜には第4番と記入されており、また初版でも第4番に位置づけられている。順序が入れ替えられたのは、ニ短調、変ロ長調、変ホ長調と調号が1つずつ増える配列を考慮したか、あるいはK421のあとには「狩」K458のような明るい作品をおくべきであると考えたためではないかと推測されている。
 この作品は、入念な労作と内面的な表現への集中という点で前2作の圏内にあり、とりわけト長調K387の大きな特徴をなしていたクロマティシズムは、第1楽章、そしてとくに第2楽章でロマン派の和声法を思わせるまでに進められている。その一方、後半の2つの楽章は、粗野な民俗的要素をとり入れたメヌエットとハイドン的なフィナーレに転じており、楽章構成はきわめて変化に富んでいる。
作曲年代 1783年の6月か7月。前述のように自筆譜には日付の記入がなく、番号も第4番となっているが、1784年2月から書き始められた「自作品目録」に記入されていないので、こちらが先に作曲されたのは確実である。ニ短調と近い時期に書かれたと推定されるのは、主として様式上の親近性からである。
基本資料の所在 自筆譜はロンドンの大英図書館所蔵。
出版 〔初版〕1785年、ウィーンのアルタリア社より「作品10の4」として。〔全集〕旧モーツァルト全集第14篇、第16番。新モーツァルト全集第8篇、第20作品群、第1部門、第2巻。
演奏時間 約28分。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ 変ホ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ・コン・モート 変イ長調 8分の6拍子。ソナタ形式。
第3楽章 メヌエット アレグロ 変ホ長調 4分の3拍子。
第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ 変ロ長調 4分の2拍子。ロンドの要素を混え、展開部を省いたソナタ形式。