■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

弦楽五重奏曲 第4番 ハ短調

K406(516b)

 この作品は1782年7月の終りごろ、「後宮からの誘拐」完成後、大急ぎで作曲された「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット各2本のためのセレナーデ」K388(384a)のモーツァルト自身による改訂である。モーツァルトは改訂にあたってほとんど本質的な変更を行っていない。改訂の契機となったものは先の2つの五重奏曲と関連のある予約出版であろうと考えられているが、なぜこのセレナーデが取りあげられたのかは明らかにされていない。そもそもこの「ナハトムジーク」は、いわゆる戸外の音楽の域を超えたものであった。アインシュタインはモーツァルトの手紙にあげられているこの呼び名について疑問すら投げかけている。いずれにせよ、作品の選択が、室内楽にふさわしい音楽内容と2本ずつの8声部からの編曲の容易さにあったことは想像にかたくない。全体として室内楽的な緻密さに欠けるきらいはあるとしても、弦楽五重奏という響きを得てその形は深化されたといえよう。
作曲の時期 1788年の4月2日、5日、9日の3回にわたって予約を募った出版広告にあげられた3つの弦楽五重奏曲のうちの第3番。おそらくこのための新しい作品を用意する時間がなかったものと考えられている。再度の広告ののち、前2作品に続いて1792年、死後半年ののちにアルタリア社から出版の日の目をみたのであった(作曲年代は1782年7月、1787年春改訂、ウィーン)。
基本資料の所在 ロンドン、ブリティッシュ・ミューゼウム(自筆楽譜)。
出版 〔初版〕ウィーン、アルタリア社、1792年。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第19作品群、第1巻。
演奏時間 約24分。
楽器編成 ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ。

第1楽章 アレグロ ハ短調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ 変ホ長調 8分の3拍子。短いソナタ形式。
第3楽章 メヌエット・イン・カノーネ ハ短調 4分の3拍子。表題どおり、楽節の入りごとにカノンを用いたメヌエット。
第4楽章 アレグロ ハ短調 4分の2拍子。