■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

幻想曲 ニ短調

K397(385g)

 前曲に続いてこの曲も未完である。作曲年代、全体の構想も不明である。こういったファンタジーはヴァン・スヴィーテン男爵の自宅でのバロック・前古典派の音楽の勉強の成果であろうということで、作曲年代は1782年頃が推定される。ケッヒェルが1862年に作品目録を作製した時、すでに自筆譜は消失していた。初版には「ピアノフォルテのための序曲ファンタジー W・A・モーツァルト作曲 遺作断片」と書かれている。曲は第97小節、ニ長調属7の和音で終っている。この後にソナタあるいはフーガが続くのであろうか。初版から2年後に、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版された楽譜には、属7の後に休符を入れ、10小節追加され、ニ長調完全終止をしている。これはトマス教会の音楽指揮者ミュラー(1767-1817)の手になるものといわれている。
 全体は自由な性格をもち、レチタティーヴォ、アリオーソ、カデンツァ等多様な様式をみせている。この多様な変化は、モーツァルトの天才によってすばらしいまとまりをみせている。そして彼の小品のなかで特に好まれているものの一つである。ケラー(音楽学者1885-1967)は、次のように演奏に対する注意を与えている。すなわち、即興性の強い冒頭は全体の気分を作り出しており、アンダンテは、余り遅くなり過ぎないように、表情をつけすぎないように、と。
出版 ウィーン、美術工芸社、1804年。〔全集〕旧全集20(20)。

全体は自由な3部構成をもっている。 アンダンテ、ニ短調、4分の4拍子。
アダージョ、ニ短調、ケラーは「哀訴する歌」と呼んでいる。アリオーソ的な美しい旋律を聞かせる。
アレグレット、ニ長調、4分の2拍子。