■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

幻想曲とフーガ ハ長調

K394(383a)

 モーツァルトはこの曲を「プレリュードとフーガ」と呼んでいる。しかしこのプレリュードは、速度、様式など変幻自在な性格をもっているので、実用楽譜では「ファンタジーとフーガ」と題している。モーツァルトの姉への手紙には(1782年4月2日付)、プレリュードと3声のフーガを送るということ、フーガが先に作られ、それにプレリュードがつけられたこと、そしてあまり洗練されたものでないということが書かれている。
 ヴァン・スヴィーテン男爵家でのバロック音楽・前古典派の音楽の勉強の結果がここに示されるわけであるが、プレリュードは、自由なファンタジーを多く書いた、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハの影響であり、フーガは勿論セバスチャン・バッハのおかげである。なお、この曲は完成された唯一のプレリュードとフーガであって、ドゥ・サン=フォア(仏音楽学者 1874-1954)は、オルガン風なフーガの荘厳さ、プレリュードの大胆さ、自由さをこの曲の特質として記し、ウィーンでの様式転換となる作品として評価している。
作曲の経過 このフーガの直接の成立に関して、モーツァルトは前述の手紙の中で次のようにいっている。「ヴァン・スヴィーテン男爵が、ヘンデルとバッハのあらゆる作品を家へ持ち帰るよう与えてくれました。コンスタンツェ(モーツァルト夫人)が、そのフーガを聞いてそれに魅せられてしまいました。そして私が彼女のためにフーガを書くまで、その願いを止めませんでした。そうしてフーガが生まれたのです」と。
作曲年代 1782年4月。
基本資料の所在 自筆楽譜は、フーガ、パリ国立図書館(旧パリ音楽院図書館)、マレルブ・コレクション。
出版 ライプツィヒ、ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社、1800年。ただし初版か否か不確実。〔全集〕旧全集20(18)。
演奏時間 約8分(レコードによる)。

プレリュード ハ長調 4分の4拍子。3部分よりなる。
フーガ アンダンテ マエストーソ ハ長調 4分の4拍子。3声構造。