■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調

K386

 この曲は、一応最後まで筆が進められているにもかかわらず、部分的にオーケストレーションがなされないままに終っている未完の作品である。ほとんど完成されているにもかかわらず、モーツァルトがなぜ途中で完成を放棄してしまったのか、その理由は定かでない。これについてアインシュタインは、この曲を、本来はピアノ協奏曲K414(385p)の終楽章として書かれたが、途中で放棄されてしまった草稿、あるいは代用楽章と考えている。新全集の校訂者W・レームは、この曲とK414(385p)の終楽章とが、調性、速度記号、拍子、楽器編成、および形式に関して一致していること、さらに、1782年12月28日の父親宛の書簡の中で、K414(385p)を含む3曲のピアノ協奏曲についてモーツァルトが述べている「これらの協奏曲は、非常に難しいものと非常にやさしいものとの真に中間にあり−非常に華麗で−耳に快よく−勿論、空虚に陥ることなく−あちこちに−精進者にしか満足できないような所もあり−しかしながらそれでいてまた−そういう所も、知識のない者は、なぜだかわからないままに、満足するに違いないのです」という内容と、この曲の様式とが完全に一致することから、両者は密接た関係にあるとしている。しかしまた他方では、レームは、この曲では、チェロの声部が、かなりの部分にわたり、第1ヴァイオリンと同じ旋律を奏していることから、こうしたチェロ声部のソリスティッシュなあつかい方が、管楽器とコントラバスとを省いた弦楽盟のみの伴奏によっても演奏されるというK414(385p)の意図に反するものであるとしている。そしてこれらを総合し、レームは、この曲は、最初はK414(385p)の終楽章として書かれたのだが、以上のような理由から、途中で放棄されてしまったのであろうとし、アインシュタインの説を支持している。しかしながら、このようなことから、この曲が、K414(385p)の終楽章の代用楽章であるとも考えられるとするアインシュタインの意見には反対している。両者の関係を裏づける確かな資料はないが、いずれにせよ、形式的にも、内容的にも、この曲がK414(385p)の終楽章と非常によく似ていることは確かである。
作曲年代 1782年10月19日。自筆楽譜が各国に散在する。
出版 〔初版〕ロンドンのチプリアーニ・ポッター、1839年。(ピアノ独奏用編曲譜として)。〔全集〕新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第8巻。
演奏時間 約9分。
楽器編成 独奏ピアノ、オーボエ2、ホルン2、弦5部。

アレグレット 4分の2拍子。ロンド形式に基づいて書かれている。