■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノと管弦楽のためのロンド ニ長調

K382

 1781年6月、モーツァルトは、かねてから不満を抱いていたザルツブルク大司教と訣別し、自分の音楽活動に最適の地と考えたウィーンに定住することを決意したのであった。こうして自由な音楽家として自立したモーツァルトは、さっそくこの音楽の都で確固たる地歩を築き、自活の道を切り開いていかなければたらなかったのである。そのために取られた方法の一つは、予約音楽会をはじめとした音楽会で、自らの作品を紹介し、またピアノ演奏家としての腕前も披露することであった。ピアノの名手であったモーツァルトは、特に、自らが主催した予約音楽会で、毎回、新しく作曲したピアノ協奏曲を、自らの演奏によって発表していったのである。この曲は、こうした目的のために書かれた、ピアノ協奏曲のジャンルの最初の作品である。モーツァルトは、1782年3月3日に催された音楽会で、8年も前に作曲された「ピアノ協奏曲」K175を取り上げたが、このとき終楽章をこの曲に代えて演奏し、大喝采を博したのであった。このようにこの曲はK175のフィナーレの代用楽章として書かれたのであるが、モーツァルトはこの曲を好んでいたらしく、その後の音楽でも何回か演奏している。
作曲の時期 おそらく1782年3月。
初演 1782年3月3日、ウィーン。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館(自筆譜)。
出版 〔初版〕パリ、ボイヤー、1784年。〔全集〕新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第1巻。
演奏時間 約10分。
楽器編成 独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部。

アレグレット・グラツィオーソ ニ長調 4分の2拍子。変奏曲形式。ロンド風な性格を示す陽気な愛らしい主題と7つの変奏の後、カデンツァをはさんで、冒頭主題を素材としたコーダにより曲が閉じられる。