■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリン・ソナタ ト長調

K379(373a)

 アレグロのソナタ楽章の前に、こうしたアダージョの序奏がつくのは、バロック時代にはけっして珍しいことではないし、またハイドンの交響曲でも、しばしば体験するが、モーツァルトの場合には、珍しいことである。このアダージョは規模もかなり大きく、自由な構造で、ファンタジー風である。また、主部のアレグロは珍しく短調で書かれているが、第2楽章ではト長調にもどっている。
作曲の経過 ケッヒェルの第6版ではこの曲が1781年4月7日にウィーンで作曲されたとしている。これはモーツァルトが父親に宛てた手紙(1781年4月8日付)で次のように述べているからである。「……ヴァイオリンの助奏をもつ私のためのソナタで、昨夜、11時から12時の間に作曲したものです。ただ、疲れましたので、ブルネッティのために助奏声部だけ書いて、私のほうのパートは暗記しておきました」。つまり、ケッヒェルの第6版では、この作品をブルネッティと演奏したソナタと推定しているわけである。
初演 前述の理由から、1781年4月8日のルドルフ・ヨーゼフ・コロレード伯爵邸で行われたザルツブルクの宮廷音楽家による音楽会で、ブルネッティがヴァイオリン、モーツァルトがピアノを受けもった。
基本資料の所在 自筆譜はワシントンの国会図書館におさめられている。筆写譜はヴァイオリン声部のみが、ベルリン国立図書館にある。
出版 〔初版〕ウィーンのアルタリアから出たソナタ集(K376=374dの項参照)の第5番。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第23作品群、第1巻。
演奏時間 17分22秒(フィリップス SFX 9511-3)。
楽器編成 ヴァイオリンとクラヴサンまたはピアノ。

第1楽章 序奏 アダージョ ト長調 4分の2拍子。主部 アレグロ ト短調 4分の3拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンティーノ・カンタービレ ト長調 4分の2拍子。主題と5つの変奏、およびコーダ。