■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

セレナーデ 第11番 変ホ長調

K375

 モーツァルトのセレナーデおよびディヴェルティメント創作活動は、1779年から1783年にいたる4年間に、第4の時期を迎えることになるが、セレナーデ第11番変ホ長調はちょうどこの時期の中ほど、1781年に作曲されている。前の年に書かれた13の管楽器のための変ロ長調の作品(K361)および翌年に生れたハ短調(K388)とおなじく管楽器だけの作品である。初めはクラリネット、ホルン、ファゴット各2、計6個の管楽器の曲として作られたものであったが、翌1782年の7月に、モーツァルト自身によって2本のオーボエが付け加えられ、現在ではハ短調の作品と同様この八重奏の形で演奏されている。なお、そのほかに2本のイングリッシュ・ホルンを加えた10個の管楽器による楽譜の原稿もある。
 曲はウィーン宮廷に仕えていたH・フォン・ヒッケル(ヒックル)の妹のために書かれたが、この曲についてはモーツァルト自身が父レオポルト宛の手紙(1781年11月3日付)で触れている。それによると、10月のある晩、床についていたモーツァルトは自分が住んでいる家の中庭でこのセレナーデの演奏されるのを聴いて驚いたという。セレナーデなどの楽曲の演奏になれていた楽師たちが、この美しい作品の作者に対して敬意を表するために、ちゃんと勉強したうえで奏楽したのであった。夜の静けさをやぶって鳴りひびいた自作の曲の変ホ長調の和音はたしかに彼の目をみはらせるほどのものだったと思われる。モーツァルトの若々しいながらも、確かな技法と豊かな内容とは、この作品をして今までの機会音楽作品には珍しい深さと幅を与えているといえよう。
作曲の時期 1781年10月、前述のように第2稿は1782年7月。ウィーンにて。
基本資料の所在 第1稿、第2稿(部分的にはコピストの手になる)ともにベルリン国立図書館。
演奏時間 約24分。
楽器編成 オーボエ2、クラリネット2、ホルン2、ファゴツト。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調 4分の4拍子。
第2楽章 メヌエット第1 変ホ長調 4分の3拍子。
第3楽章 アダージョ 変ホ長調 2分の2拍子。
第4楽章 メヌエット第2 変ホ長調 4分の3拍子。
第5楽章 アレグロ 変ホ長調 4分の2拍子。フィナーレはロンドと名づけられていないものの、やはりこの形式をもっている。