■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリンのためのロンド ハ長調

K373

 1775年に集中的に5曲のヴァイオリンのための協奏曲を書いてから、モーツァルトはもっばら室内楽の領域でこの楽器に対時していたが、このロンドはオーケストラを伴うヴァイオリン曲としては久々に手がけられたものである。また、このように協奏曲ではなく、しかもオーケストラ伴奏の独立したヴァイオリン作品は、このロンドと、のち1785年に書かれたアンダンテ「イ長調」K470の2つ以外にない。
 この作品の成立もザルツブルク宮廷楽団での同僚のヴァイオリニスト、アントーニオ・ブルネッティと結びついている。1781年3月、『イドメネオ』上演のため滞在していたミュンヘンから、ザルツブルク大司教の命に従ってウィーンに赴いたモーツァルトは、当地にある大司教の父の館で4月8日に催された音楽会のためにいくつかの新作を用意しなければならなかった。このK373もそのひとつで、あのブルネッティを独奏者に迎えて演奏されたのである。なお、この演奏会では他にヴァイオリンとピアノのためのソナタも披露された。K378(227d)かK372のいずれとも今日なお判然としないその曲のピアノ・パートは、当然作曲者が受け持つことになったが、この折、写譜が間に合ず、ブルネッティのヴァイオリン・パートのみ書き上げ、自分用のピアノ・パートは頭の中だけにあった、つまり五線紙には全く書き移さずに演奏に臨んだ旨が、父宛ての手紙に報告されている。
作曲の時期 1781年4月2日、ウィーンにて。
初演 1781年4月8日、ウィーンのヨゼフ・コロレード伯の邸内で。
基本資料の所在 〔自筆楽譜〕不明。
出版 〔初版〕1800年、オッフェンバッハ・アンドレ社。〔全集〕旧モーツァルト全集第12巻。〔実用楽譜〕ショット社。ロスタル編、ピアノ譜。
演奏時間 約5分半。
楽器編成 独奏ヴァイオリン、オーボエ、ホルン2、弦5部。

 アレグレット・グラツィオーソ、ハ長調、4分の2拍子。A-B-A-C-A-カデンツァ-A(コーダ)のロンド形式。