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ボーマルシェの『セヴィリアの理髪師』のロマンス「私はランドール」による12の変奏曲 変ホ長調

K354(299a)

 1778年パリ旅行の際に生まれた4つの変奏曲のひとつ(あと3曲は、K265(300e)、K353(300f)、K264(315d))。ボーマルシェの喜劇『セヴィリアの理髪師』のなかで歌われるボドゥロン作曲と思われるロマンス「私はランドール」に基づく。この旋律をモーツァルトは、パリ滞在中に初めて知ったらしい。初演の時日は不明だが、1780年以降にもしばしば演奏会でとり上げられ、モーツァルトお気に入りの自作のひとつだったのは意外の感がしないでもない。いかにも機会的な社交音楽めいた華やかさはあるが、いくらか冗慢で、ゲオルギ(音楽学者1887-1967)などは「パリ変奏曲のうち、一番味気ないもの」と評しているほどだからである。
作曲年代 1778年初めあるいは夏、パリで。
基本資料の所在 〔自筆楽譜〕不明。
出版 〔初版〕1778年、パリ、エーナ社。〔全集〕新モーツァルト全集第9篇、第26作品群。〔実用楽譜〕ヘンレ版、ウィーン原典版「ピアノのための変奏曲」1、音楽之友社など。
演奏時間 約18分。

主題は4分の2拍子、アレグレットのエア。もとのロマンスはト長調、17小節だったが、ここでは変ホ長調、22小節の二部形式に変っている。なお、続く変奏もすべて、反復を伴う二部形式をとっている。