■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

フルートのためのアンダンテ ハ長調

K315(285e)

 伝えられた自筆楽譜には日付が記されていないので、成立時期やその目的がはっきりしない。しかし、その筆蹟、紙質、さらにモーツァルトが平生フルートを嫌っていたため、注文を受けた場合にしかこの楽器のためには作曲しなかった(アインシュタイン)等の理由から、マンハイム・パリ旅行の折に知り合ったオランダの富裕な愛好家でフルートをよくしたド・ジャンのために書かれたものであり、しかも、やはり同じ人物の依頼で作曲されたフルート協奏曲「ト長調」K313(285c)の第2楽章のアダージョが、一愛好家のためとしては内容が深遠にすぎると判断し、その代用としてこのきわめて牧歌的で平明なアンダンテを、あとから作り直したのだという考えが定着している。オーケストラはもっばらソロの引立て役として控え目であり、協奏風というよりは室内楽風の趣が強い。
作曲の時期 おそらく1778年初め、マンハイムにて。
基本資料の所在 〔自筆楽譜〕パリ国立図書館。
出版 〔初版〕1800年、オッフェンバッハ・アンドレ社。〔全集〕旧モーツァルト全集、第12巻。〔実用楽譜〕インターナショナル社、ランパル編。アマデウス社、バイヤー編。音楽之友社、世界大音楽全集、器楽篇第72巻、フルート名曲集(いずれもピアノ譜)。
演奏時間 6分弱。
楽器編成 独奏フルート、オーボエ、ホルン2、弦5部。

 ハ長調、アンダンテ、4分の2拍子、ソナタ形式。