■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ・ソナタ イ短調

K310(300d)

 モーツァルトは、1778年3月14日、マンハイムを去って、パリヘと向かった。彼は、同年7月初め、この異郷の地で、母親を失うことになったが、作曲活動は相変らず活発に行われ、多くの作品が生み出されることになった。イ短調K310(300d)は、彼がパリで作曲した最初のピアノ・ソナタである。あたかも、当時のモーツァルトのはりつめた心情を象徴し、また母親の死という悲しいでき事を予示するかのような暗く緊張した作品といえよう。いままでのピアノ・ソナタ作品にかつてみられないほど、構成的にも、内容的にも充実したこの作品は、ウィーン時代の作品に匹敵するような個性をもっている。曲は1778年初夏、同じく短調のヴァイオリン・ソナタホ短調K304(300c)とほとんど同時期に作曲されたものと思われる。

第1楽章 アレグロ・マエストーソ イ短調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ・コン・エスプレッシオーネ ヘ長調 4分の3拍子。ソナタ形式。
第3楽章 プレスト イ短調 4分の2拍子。ロンド形式。穏やかな中間楽章をはさんで、このフィナーレでは、再び第1楽章の緊張した情調が復活している。