■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリン・ソナタ ホ短調

K304(300c)

 パリで書かれた2つの短調ソナタ(K300c、300d−1778年初夏作曲)は異様な緊張感と暗さをただよわせ、同年7月3日の母の死と関連して考えてもよいような趣をもっている。「ホ短調ヴァイオリン・ソナタ」は2楽章からなり、ロンドンで書かれた初期のソナタの構成こそ踏襲しているが、ピアノとヴァイオリンのほとんど対等た役割、結尾句における主題動機の使用、主題の展開のさせ方など、内容的には数段の進歩がみられる。
作曲の経過 モーツァルトがウィーンでヴァイオリン・ソナタを作曲してから、マンハイム・パリでこのジャンルの曲を書くまでに約10年の歳月が流れている。ふたたび、こうした作品を書く気になったのは、シュースター(作曲家、ドレスデンの宮廷楽長1784-1812)のヴァイオリン・ソナタをきいて、2つの楽器の役割分担に新鮮な魅力を感じたからだといわれている。7曲あるこの時期のソナタのなかから6曲(K301−306)をまとめて出版し、かなりの報酬を得るつもりだったこと、しかし、モーツァルトの希望どおりの額で買い上げてくれる出版社もなく、結局、妥協せざるをえなかったことなどが彼の手紙(1778年7月20日付)からわかる。この6曲のソナタはプファルツ選帝侯夫人、マリーア・エリザベートに献呈されている。K304自体は1778年初夏にパリで作曲されたと推定できる。
初演 不明。
基本資料の所在 自筆譜は個人の所有。筆写譜はウィーン楽友協会、アルヒーフ。
出版 〔初版〕パリのズィーバー社より「ヴァイオリンの伴奏をもつクラヴサンかピアノのための6つのソナタ。モーツァルトの手により、パラティーヌ選帝侯妃に献呈」として1778年11月初旬に出版。K304はその第4番、ただし、この初版本はモーツァルトが校正刷を見てないので、無批判に信頼できる資料ではない。〔全集〕新モーツァルト全集第8篇、第23作品群、第2巻。
演奏時間 11分45秒(フィリップス PL-1334)。
楽器編成 クラヴサンまたはピアノとヴァイオリン。

第1楽章 アレグロ ホ短調 2分の2拍子。ソナタ形式。
第2楽章 テンポ・ディ・メヌエット ホ短調4分の3拍子。中間にホ長調のトリオをもつ。