■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ディヴェルティメント 変ロ長調

K287(271H)

 1776年のK247に続けて、翌1777年にザルツブルクのロードゥロン伯爵夫人の依頼で作曲された2番目のディヴェルティメント。依頼者の名前を冠して「(第二)ロードゥロン.セレナーデ」の通称で呼ばれている。自筆譜のタイトルが切り取られているため、作曲の日付は不明であるが、マンハイムヘの旅行の途中立ち寄ったミュンヘンからの1777年10月2日付の父宛の手紙に「……ザーレルン伯爵のところで3日間多くの曲を暗譜で、つまり伯爵夫人のための2つのカッサシオンと最後にロンド付のフィナールムジークを暗譜で演奏しました......」と書かれているので、伯爵夫人の霊命の祝日6月13日に合せて6月頃作曲されたと推定されている。手紙の中の「2つのカッサシオン」のもう1曲はK247である。
 楽器編成、楽章構成とも前作K247と同趣向の作品であるが、マンハイム・パリ旅行を間近に控えた作品らしい一層円熟味の増した筆致が現れている。室内楽的な緊密さ、民謡に想を得た主題、第一ヴァイオリンの極めて技巧的な扱いといった様々た要素が、一種の緊張感すら孕みながら見事な調和を保っている点、セレナーデ音楽の「円熟と充実の時代」(ハウスヴァルト)の最後を飾るにふさわしい作品と言えよう。第一ヴァイオリンの高度な技巧性はこの作品の最も目立った特徴であるが、モーツァルトは、ミュンヘンから10月6日付の手紙に、次のように記している。「私は、ヨーロッパで一番うまいヴァイオリニストのように、この曲を弾きました」(K247の概説も参照)。
作曲年代 おそらく1777年6月。
初演 資料は残されてないが、作曲後間もなくロードゥロン家で演奏されたであろう。
基本資料の所在 自筆譜は、ベルリン国立図書館所蔵。
演奏時間 約28分。
出版 〔初版〕1799年、アウクスブルクのゴンバルト社。〔全集〕旧モーツァルト全集第9篇、第29番。
楽器編成 ホルン2、弦5部(弦楽五重奏によっても可能)。

第1楽章 アレグロ 変ロ長調 4分の3拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ・グラッィオーソ ヘ長調 4分の2拍子。主題と6つの変奏曲。
第3楽章 メヌエット 変ホ長調 4分の3拍子。
第4楽章 アダージョ 変ホ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第5楽章 メヌエット 変ロ長調 4分の3拍子。
第6楽章 〔序奏〕 アンダンテ 変ホ長調 4分の4拍子。