■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ・ソナタ ニ長調

K284(205b)

 1775年初めに作曲された6曲のピアノ・ソナタの最後の作品である。モーツァルトは、1774年の暮、オベラ・ブッファ「偽の女庭師」K196を上演するために、ミュンヘンを訪れたが、翌年の3月初めまで、同地に滞在していた間も、作曲活動をやめなかった。この曲は、彼の、ミュンヘン滞在中に書きあげられた最後の作品でもある。、ミュンヘンにある.バイエルン選帝侯マクシミリアン3世ヨゼフの侍従であったフランツ・タデーウス・フォン・デュルニッツに頼まれて作曲されたため、「デュルニッツ・ソナタ」と呼ばれることもある。ミュンヘン滞在の最後の時期、すなわち2月か3月に作られたこのニ長調K284(205b)には、前の5曲に比べると、はっきりとした違いがみられる。それはこの曲にはフランス風なギャラントな作風が著しいことである。たとえば、第2楽章にはフランス語で「ポロネーズ風ロンドー」と書かれているほか、フィナーレのヴァリエーションなどにフランスの影響が明らかに示されている。モーツァルトは、多分、、ミュンヘンで、フランス作曲家のクラヴィーア曲集をみる機会に恵まれ、そのスタイルの感化を直接に受けたものと思われる。
 このようなギャラントな傾向は、ザルツブルクに帰ってからもしばらく続き、そうしたスタイルで数多くの作品が生み出されているが、このソナタは、そうした作風をひらくきっかけともなったという意味で、重要な作品である。

第1楽章 アレグロ ニ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 ロンドー・アン・ポロネーズ アンダンテ イ長調 4分の3拍子。ロンド形式。
第3楽章 主題と12の変奏(アンダンテ)ニ長調 2分の2拍子。モーツァルトは、フランスの音楽の影響で、初めてピアノ・ソナタのフィナーレに変奏曲形式を使用した。