■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ディヴェルティメント 第11番 ニ長調

K251

 最後のイタリア旅行から、母と2人連れで行ったマンハイム、パリ旅行までの数年間は、ザルツブルクに腰を落ちつけて、大司教に仕える宮廷音楽家としての職務を果していた比較的平穏にみえる時期であった。この時期は職務などの点からみても、教会音楽とならんでセレナーデやディヴェルティメントなどの機会音楽が作曲されることが多く、この方面の音楽では1771年以降の3年間につき第3の時期を形づくる。特に1776年にはセレナーデ、ディヴェルティメントを合せて10曲に近い作品が生み出され、その後の作品のようた深みはみられないまでも、質量ともに頂点を形づくり、まさに機会音楽の年と称することができる。特に有名な作品は、モーツァルトがザルツブルクの名門ハフナー家のためにめに作曲した、いわゆる「ハフナー・セレナーデ」ニ長調K250(248b)で、その若々しい力と清朗な音調は、当時のモーツァルトの数多い作品の中でもこの曲を特に名高いものとしている。
 ディヴェルティメント「第11番」ニ長調K251は「ハフナー・セレナーデ」に踵を接して生まれた作品である。すなわち「ハフナー・セレナーデ」は1776年の7月に作曲され、7月22日にとり行われたた、ハフナー家の令嬢エリーザベトの結婚式のおそらく前の晩に演奏されたが、同月の26日はモーツァルトの姉のマリーア・アンナの霊名の祝日にあたり、モーツァルトはナンネルの名で知られるこの姉のためにお祝いの音楽を書くことになったのであった。この曲はおそらく、この機会のために作曲され前日25日の晩に演奏されたものと考えられている。自筆譜もこの作品が急いで書かれたのであることを示している。この曲はまた翌1799年のザルツブルク大学の終了を祝ういわゆる、〈フィナール・ムジーク〉としても使われたものと推定されている。
 このディヴェルティメントには2つのアレグロと2つのメヌエット、および緩徐楽章のほかに最後にフランス風行進曲がつけ加えられているが、この行進曲ばかりでなく、全曲がフランス風のギャラントなスタイルをもっていることが認められる。フランス風なリズムが全楽章を通じて流れ、モーツァルトの作品の中でも独特な情趣を醸し出している。
作曲の時期 前述のとおり、1776年7月26日のナンネルの霊名の祝日を祝うために書かれたため、作曲は7月それもおそらく下旬に行われたものと考えられる。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館(プロイセン文化財)。
演奏時間 約27分。
楽器編成 オーボエ、ホルン2、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。

第1楽章 アレグロ・モルト ニ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 メヌエット ニ長調 4分の3拍子。3部形式。
第3楽章 アンダンティーノ イ長調 4分の2拍子。この作品の緩徐楽章はソナタ形式ではなくロンド形式によっている。
第4楽章 メヌエット テーマ・コン・ヴァリアッィオーニ ニ長調 4分の3拍子。
第5楽章 ロンドー アレグロ・アッサイ ニ長調 2分の2拍子。
第6楽章 マルチャ・アラ・フランチェーゼ ニ長調 2分の2拍子。曲をしめくるのはフランス風の行進曲である。