■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ディヴェルティメント へ長調

K247

 ミュンヘン旅行から帰郷した1775年からマンハイム・パリ旅行を経てウィーンに定住するまでの数年間は、モーツァルトの手からセレナーデ、ディヴェルティメントの名作が次々と生み出された時期だが、管と弦のためのディヴェルティメントは4曲書かれている。そのなかで、編成、楽章構成のやや異なるK251を除いた3曲、へ長調K247、変ロ長調K287=K271Hニ長調K334(320b)は、次のような共通の特徴で結ばれており、一つのまとまったグループと考えることができる。すなわち、弦5部に管楽器としてホルンだけを加えた室内楽的な楽器編成、メヌエットと緩徐楽章を2つずつもつ6楽章構成、第一ヴァイオリンのコンチェルタンテな扱い、そして、いずれも親しく交際していたザルツブルクの貴族の家庭的な祝事のために書かれていることである。
 このへ長調のディヴェルティメントは、ロードゥロン伯爵夫人アントニアの霊名の祝日のために作曲された。祝日は6月13日であった。自筆譜には「アマデーオ・ヴォルフガンゴ.モーツァルトの6つの楽器のためのディヴェルティメント1776年6月」と記されている。モーツァルトは翌1777年にも同じ目的のために前掲のK287を作曲しており、両者は「ロードゥロン・セレナーデ」と通称されるが、区別するためにこのK247は「第1ロードゥロン・セレナーデ」とも呼ばれている。夫人と2人の娘アロイージアとジュゼッピーナは音楽的な素養も高かったようで、モーツァルトはこの曲に先立って2月に「3台のクラヴィーアのための協奏曲」ヘ長調K242を彼女たちのために書いている。
作曲年代 1776年6月(自筆譜による)。
初演 宮廷顧問官フォン・ジーデンホーフェン日誌に「6月18日、食後、奏楽を聴くが、これはモーツァルトがエルンスト・ロードゥロン伯爵夫人のために作ったものである。」とあるのが資料的には最初である。しかし、作曲の目的からみておそらく6月13日にロードゥロン家で初演されたのであろう。
基本資料の所在 自筆譜はベルリン国立図書館所蔵。
出版 〔初版〕1799年、アウクスブルクのゴンバルト社。〔全集〕旧モーツァルト全集第9篇、第24番。
演奏時間 約30分。
楽器編成 ホルン2、弦5部(ただし、弦楽五重奏によっても可能)。

第1楽章 アレグロ ヘ長調 4分の4拍子 ソナタ形式。数多くの主題、モティーフを用いて幅広く形づくられた軽快なソナタ楽章。
第2楽章 アンダンテ・グラッィオーソ ハ長調4 分の3拍子。短いロマン風の楽章。
第3楽章 メヌエット ヘ長調 4分の3拍子。
第4楽章 アダージョ 変ロ長調 2分の2拍子。ソナタ形式。三連音符を伴奏に第1ヴァイオリンが美しく歌い上げる典型的なセレナーデ楽章。弦楽器だけで奏される。
第5楽章 メヌエット ヘ長調 4分の3拍子。
第6楽章 〔序奏〕 アンダンテ ヘ長調 2分の2拍子。