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ピアノ協奏曲 第8番 ハ長調 「リュッツォウ協奏曲」

K246

 前作K242の2ヵ月後、1776年4月に作曲された。当時のホーエンザルツブルク城塞司令官J・G・リュッツォウ伯の夫人、アントーニエのために書かれたと考えられている。このことは、1782年4月10日付の父への手紙によって推測される。すなわち、「すみませんが、ついでの折にリュッツォウ伯夫人のために書いたぼくの『ハ長調』の協奏曲をお送り下さい」とある。この夫人は、当時ザルツブルクに住み、父レオポルトの弟子であったと思われることからこの推測は正しいと考えられる。
 K238271およびこの246の3曲は、作曲年代が近く、モーツァルト自身も1つのグループとして考えていたようである。マンハイム、パリの旅行に彼はこれ等の曲を携えてゆき、しばしば演奏したことが手紙によって明らかである。また彼にとってこれ等の曲は演奏用ばかりでなく、教材用としても役立っていたようだ。1782年4月10日のウィーンから父への手紙に、教材としての使いやすさを想い出し、ウィーンヘこれらの曲を送付してほしい旨が書かれている。また1778年9月の手紙では、パリでこの3曲の出版を計画していたことがわかる。しかしこれは目的を果さず、彼の生前いずれも出版されなかった。
 内容的には、K242と同じく、被献呈者の演奏技術に合せて、易しく作曲されている。形式、様式的には、クリスティアン・バッハの影響が濃い。
 モーツァルトはこの協奏曲の第1楽章用、第2楽章用に、それぞれ3種のカデンツァを書いている。ケッヒェル目録第6版では、第2楽章用として4種あげられているが(C)の番号をもつものは、他の協奏曲のアインガングが誤って入ったものである。
作曲年代 1776年4月。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館(自筆譜)。
出版 オッフェンバッハの、J・アンドレ、1800年。〔全集〕旧モーツァルト全集第8篇。新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第2巻。
演奏時間 約21分。
楽器編成 独奏ピアノ、オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。

第1楽章 アレグロ・アペルト ハ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。この曲全体にK238との類似がいわれているが、特にこの楽章においてそれが顕著である。
第2楽章 アンダンテ ヘ長調 4分の2拍子。ソナタ形式。
第3楽章 ロンド−テンポ・ディ・メヌエット ハ長調 4分の3拍子。ロンド形式。ロンド主題は、独奏ピアノによって冒頭に呈示される。この主題のメヌエット風な優雅な性格は、この楽章全体に流れている。