■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ピアノ協奏曲 第7番 へ長調 「ロードゥロン協奏曲」

K242

 3台のピアノのための作品で、前曲K238の1ヵ月後2月に完成された。この度は自演のためではなく、彼の保護者、ザルツブルクの主馬の頭エルンスト・ロードゥロン伯の夫人アントーニァ(1738-1786)と2人の令嬢、アロイージアとジュゼッピーナのために書かれた。しかしモーツァルト自身この曲が大変お気に入りだったようで、パリ旅行の途次1777年10月にアウグスブルクのアカデミーで、オルガニスト、デンムラー(?-1785)、モーツァルト、クラヴィーア製作者シュタイン(1728-1792)と共演、また1778年にはマンハイムのカンナビヒ家で演奏したことが手紙に認められている。
 2台のピアノのための編曲が自筆楽譜につけられている。これは、ジュゼッピーナの演奏技術が足りないため、それなりのテクニークを考えて書かれた彼女の第3ピアノ部を削除したと思われる。またある説によれば、ピアノという楽器の音の性格からいって3台ものアンサンブルでは、音は賑やかにはなってもその音楽的効果はあまりよくないのではないかということである。楽器構成のめずらしさは別にして、この曲は素人のため作曲されたもので、演奏技術のむつかしくない、社交的たディヴェルティメント風な性格の作品である。主要楽想は、2つ、あるいは3つのピアノによって(多くはオーケストラを伴わずに)、交替して呈示され、展開される。複数楽器のソロによるとはいえ、バロック時代のヴィルトゥオーソ的た技巧をきかせるソリとトゥッティからなる構造から離れ、明らかに古典派の協奏曲形式によっている。ブルーメのいうように、クリスティアン・バッハの影響は見逃せないが。
 3台のピアノのためのソロ・カデンツァが第1、2楽章につけられている。これらは各々にモーツァルトの手によって、総譜に書かれている。
作曲年代 1776年2月。
基本資料の所在 ベルリン国立図書館(自筆譜)。
出版 〔初版〕オッフェンバッハのJ・アンドレ、1802年。〔全集〕旧モーツァルト全集第7篇。新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第1巻。
演奏時間 約25分。
楽器編成 独奏ピアノ3、オーボエ2、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。

第1楽章 アレグロ ヘ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。
第2楽章 アダージョ 変ロ長調 2分の2拍子。ソナタ形式。
第3楽章 テンポ・ディ・メヌエット ヘ長調 4分の3拍子。ロンド形式。A-B-A-C-A-B-Aの大ロンド形式である。