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ピアノ協奏曲 第6番 変ロ長調

K238

 前曲(K175)から約2年後に作曲された。自筆楽譜には、前曲と同じく「チェンバロ協奏曲」と書かれている。モーツァルトはピアノ協奏曲すべてにチェンバロの語を用いているが、初期を除いては、彼はいわゆる〈モーツァルト・フリューゲル〉を好んでいたことを考えなければいけないとP・バドゥーラ=スコダは述べている(オイレンブルク版小型スコア・序)。
 これはモーツァルト自身の演奏会のために作曲された、〈ザルツブルク協奏曲〉の中の1つで、やはりギャラント様式が支配的である(K175解説参照)。1777年10月4日、ミュンヘンでK246271とともに演奏したことが推測されるし、また同22日にはアウグスブルクでも演奏されている。
 管弦楽パートは前曲に比べて小さく、室内オーケストラ的編成をとっている。様式的にみても、この時代のディヴェルティメントあるいはセレナーデ風である。
 各楽章ごとに、オリジナルなカデンツァがつけられているが、これはP・バドゥーラ=スコダによってはじめて小型スコア(オイレンブルク版)に印刷された。この原典はザルツブルク聖ペテロ大修道院蔵のレオポルトによる手写本によっているが、これは戦後間もなく、パウムガルトナー(1887-1971)によって発見された。
 バドゥーラ=スコダは、演奏に関して、ソロの奏者も自分のパートだけでなく、やはりスコアからの研究をしなければいけない。そうでなくては、モーツァルトのこの協奏曲の秀れた室内楽風な織地がわからないということを述べている(オイレンブルク版小型スコア、序)。
 自筆譜には通奏低音の数字付がなされている。プラート(新モーツァルト全集の編集者の1人)は、これはレオポルトによるものだといっているバドゥーラ=スコダは、ソロ・ピアノが、トゥッティの間通奏低音楽器として参加している構造的理解のため残しておくべきだという意見である。モーツァルトの頃のハンマーフリューゲルは、オーケストラの響でうまく消されるだろうといっている。
作曲年代 1776年1月。
基本資料の所在 ワシントン国会図書館。
出版 〔初版〕ベルリン=アムステルダムのフンメル。〔全集〕旧モーツァルト全集第16篇、第6番。新モーツァルト全集第5篇、第15作品群、第1巻。
演奏時間 約25分。
楽器編成 独奏ピアノ、オーボエ2(第2楽章ではフルート2持替え)、ホルン2、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。

第1楽章 アレグロ・アペルト 変ロ長調 4分の4拍子。ソナタ形式。可愛らしい表情をもった楽章である。
第2楽章 アンダンテ・ウン・ポーコ・アダージョ 変ホ長調 4分の3拍子。展開部をもたないソナタ形式。
第3楽章 ロンド−アレグロ 変ロ長調 2分の2拍子。ロンド形式。