■モーツァルト作品解説■    [HOME]   [年代別目次]

ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調

K218

 「第2」のニ長調K218は、「第3番」ト長調に踵を接して翌10月に作曲された。この曲の作曲に際して、モーツァルトが、ボッケリーニの「ヴァイオリン協奏曲」に、直接の手本を求めたことが明らかにされているが、現在、なお、好んで演奏会でとりあげられているというのも、モーツァルトの独自の個性がこの曲のなかに映しだされているからにほかならない。2年後の1777年の秋、ザルツブルクに残った父レオポルトが、旅行中の妻と息子に宛てた手紙(1777年10月6日付)のなかで、ヴァイオリニストのブルネッティがヴォルフガングの「シュトラスブルガー(“シュトラスブルク人”という民謡であろう)をともたった協奏曲」を、かなりうまく弾いたとのべているほか、おなじ月の23日、こんどは、ヴォルフガングが、同月19日の晩、食事の時に、自分で「シュトラスブルク協奏曲」を演奏した旨、アウクスブルクから父に書き送っている。この協奏曲が「第3番」のト長調であるか、あるいは「第4番」ニ長調のこの曲であるか論議の的となっている。ニ長調のほうのロンドー中のミュゼット主題が、ディッタースドルフ作曲の「謝肉祭交響曲」中の「バルロ・ストラスブルゲーゼ」と呼ばれたミュゼットに似ていることが明らかにされたため、〈シュトラスプルク協奏曲〉という名は、この「第4番」ニ長調の作品に対してあたえられていたが、「第3番」説をとる研究者もいる。この点については「第3番」を参照されたい。
 楽曲の作り方が、前作とはかなり異なっていることにも特徴がある。オーケストラは、より単純な性格をもち、たとえば「ト長調」でみられたような独奏楽器との対話、かけ合いなどはほとんどおこなわず、ふつう、忠実な伴奏の役をつとめるか、あるいは、重複して旋律をつよめるかのいずれかである。また、各楽章の構成にも変った点が多く、たとえば、第1楽章アレグロの冒頭主題は独奏ヴァイオリンによって繰り返し奏されたあとは、展開部でも、また、再現部でも姿を現さないし、また、緩徐楽章には、展開の場がなく、独奏ヴァイオリンの美しい歌が始めから終りまで一貫してつづく。さらに、フィナーレにしても、非常に自由に作られ、ロンドーとソナタ楽章が潭然一体となったような構成をとっている。モーツァルト独自の個性が正面にでているにもかかわらず、前作と同様、やはりフランス的な香りの高い楽曲である。なお、第1楽章の冒頭主題は、勇壮な軍隊のリズムをもっているため、この曲は「軍隊的」とも名づけられることがある。
作曲年代 1775年10月、ザルツブルク。
基本資料の所在 「第1番」を参照
演奏時間 約25分。
楽器編成 独奏ヴァイオリン、オーボエ2、ホルン2、弦5部。

第1楽章 アレグロ ニ長調 4分の4拍子。協奏風ソナタ形式。
第2楽章 アンダンテ・カンタービレ イ長調 4分の3拍子。
第3楽章 ロンド−アンダンテ・グラツィオーソ ニ長調 4分の2拍子